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#18 剣道の継続から拡がった世界③ ~天夢塾にて

◾️ただ竹刀を振ってるだけが継続ではありません

授業の内容を考えるにあたり、ラフを作成した話は前回のとおりです。
とにかく、継続するということが「脇目もふらず、時には必死になってひとつのことに打ち込むだけではなく、興味が広がるパターンもあるのですよ」という話をしたいと考えました。

高校生で言うなら、部活動には引退があります。
剣道においても、いつしかそれが学校での活動となり、学校を離れれば自然と剣道からも離れてしまうケースが少なくありません。

壁にぶつかり悩んでも、ぶつかることがなかったとしてもやがて「引退」がやってきます。
そのまま次の学校や社会人としての勤め先に進んでもまたその活動ができる場所があれば一度引退したとしても再び続けることは可能です。
そこでまた競技的に試合での活躍や、剣道で言えば昇段審査などに成果を求めることもあるでしょう。

運動ならその競技性を考え、運動でない場合は継続している何かの決まった形やその目に見えているものに成果を求めていくことになります。

私の場合、「もう少し続けたら何か分かるかも」という思いから高校卒業後も剣道を続けました。
このときはあまり深く考えていなかったのですが、続けることによってそれまで知ろうともしなかった世界がまだまだあることに気づき始めました。

それが前回のラフ案でした。再掲します。

ラフ案


ブラッシュアップするとこのようなイメージになります。

浮かび上がるキーワード

ひとつの枠に特定することなく、さまざまなことに気づき、興味関心を深めていったものの羅列です。
これをさらにカテゴリ化するとこんな感じ。

とりあえず6つのカテゴリーに分けました。そこから「歴史を知り、未来を考える」ことができます。

◾️ネットワーク

剣道の場合だと、継続することによって人文科学、スポーツ・健康への理解を深めていくケースが多そうです。
そして、自分以外の剣道を続けている人と何らかの形で交流することでネットワークが自然と広がります。
ましてや今ならSNSがありますので、その拡がり方は無限大と言えます。

知人にこう言われたことがありま す。
「いつも剣道の知り合いが絡むけど、剣道に関係ない人はいないの??」

いないわけではありませんが、剣道をしているだけで自然と色々な知り合いが増えるので、ネットワーク構築に困らないのです。

何かに困ったり、新たに知りたいことがあると、剣道関係者を辿れば解決するようになりました。

◾️「競技」だけでないカルチャーの宝庫

物事には、継続するためのツールが必要です。
ツールとは、剣道で言えば剣道具(防具、剣道着、袴、竹刀など)がまず思い浮かびます。

剣道の道具の世界は奥が深いです。
産業、伝統工芸、美術…文化(カルチャー)の宝庫です。
別の機会に詳しく書こうと思いますが、剣道具は年々、その工芸品としての深みに触れられる機会が少なくなっています。
歴史的な風土から離れ、アスリートのスポーツギアやプロテクター、ユニフォームのような売られ方、買われ方をするようになりました。
剣道観の古い私には少々残念ですが、この売られ方、買われ方が定着している現状があります。

実際には剣道具が作られていく背景にはこのような拡がりを見ることができます。
(できればこういうことがもう少し前の時代から広まってほしかった…)

天然の藍染の世界(野川染織工業より)。最近は化学染料による染めか、そもそも綿製品でなくポリエステルやテトロンが当たり前になりつつあります。
胴台や面縁は漆で染められています。漆について詳しく知るために木曽地方まで足を運びました。これも最近は、プラスチックや人工漆が主流に。
「色」における同系色、反対色と言った色使いも剣道(具)からは知ることができます。
なぜジャパンブルーは日本人に愛されるか。藍色と黄色が合う理由は?
文様についても学べます。「燭光」ではなく「蜀江」である理由からは歴史も学べます。
鬼滅〜でメジャーになった文様も。

剣道に限らず、トレーニング、稽古などを積み重ね、技能向上を意識したり、あるいはその先のことを知るために「極める」ことが大事です。
しかしその極めるために何が必要か?どういった背景があるか?
極めることを補完している要素に目を向けることによって、さらにたくさんのことを学び、知ることができます。
ここでは割愛しますが、さらに見聞を広めるために、関連する産業で盛んな街などがあればそこに足を運んだりします。
その過程は観光にもなるかもしれません。
家族を連れて工場などの見学や産業に触れれば、それが旅であり、社会科見学にもなり得ます。

こういった話をすると「そこまでは知らなかった」という反応が、愛好家はもとより、プロやそれに近い程度の地位を得ているような人たちからも多く寄せられることに気づきました。
つまり特に知らなくても継続はできることが大半なのかもしれません。しかし、どうせなら視野を広く持ち、見聞を深めれば、知識が蓄積されます。
人によっては自分の進路にも影響するような出来事が待っているのかもしれません。
そんな楽しみ方があっても良いのではないかと私は常々考えているのです。

◾️話が逸れてきた?

こうやって色々拡げていくと、多くの人は「継続の話はどこに行った?」と感じ始めることでしょう。
そこに「単なる一本道ではない継続」があるのです。
そのイメージは次回紹介していきたいと思います。

◾️まだまだある「継続」から得られるもの

私は現在、剣道とはほとんど関係のない仕事に就いています。
しかし、かといって剣道が何の役にも立たなかったと言うことはありません。
剣道で培った人間性が生きています。それに継続即ち生涯学習という事実が自信となり、それを人に話すことができるようになりました。
職員採用試験でのアピールポイントとなり、面接や論文試験にも役立ち、今の私があります…と言うことに触れていくとこの倍の分量がかかりそうなので、とりあえず今日はこの辺で。

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