映画「アイズワイドシャット」の原作、シュニッツラー「夢小説」Schnitzler:Traumnovelle
「フリドリンは酔ったような気持だった。この女、その素晴らしい肉体、赤い燃えるような唇だけのせいではない。この部屋の雰囲気のせいだけでもないし、自分を取りまく官能的な秘密が原因というのでもなかったー今夜体験したことすべてに酔いしれ、飢えをおぼえたのだ。なにひとつ締めくくりがつかなかった。自分自身のことも、自ら求めた大胆な変身についても。Fridolin war wie trunken, nicht nur von ihr, ihrem duftenden Leib,ihrem rotglühenden Mund, nicht nur von der Atmosphäre dieses Raums, den wollüstigen Geheimnissen, die ihn hier umgaben; – er war berauscht und durstig zugleich von all den Erlebnissen dieser Nacht, deren keines einen Abschluß gehabt hatte; von sich selbst, von seiner Kühnheit, von der Wandlung, die er in sich spürte.」
ウィーンの開業医フリドリンは、妻アルベルティーネの昔の恋愛話にショックを受け、友人のナハティガル(ピアニスト)に導かれ怪しい仮面舞踏会に参加する。そこで出会い命まで助けてくれた謎の美女とのワンシーン。
他にも、不思議な出会いがあり、「裸の女、ピエロの小娘、マリアンネ、狭い路地から現れた若い娼婦、(出会った)彼女たち全員と浮気して妻を裏切らなければいけない。」とまでのたまう。最後に妻に自分の周りに起きた出来事を語るのだが、それが夢だったのか現実だったのか朧気なままフィナーレへ。
シュニッツラーの文芸作品は今でも人気がありブルク劇場などで上演されています。ウィーン世紀末らしく官能的で妖しげな作風が魅惑的です。
音楽は、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番op35。シマノフスキはポーランドの作曲家ですが、この作品はどことなく世紀末や夢夢しさを感じます。 バイバ・スクリデ(Baiba Skride)のヴァイオリンの演奏で。https://www.youtube.com/watch?v=ajO26qE30zM