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ジャン・ボワヴァン著「オリヴィエ・メシアンの教室」(2020年刊行)ー作曲家は何を教え、弟子たちは何を学んだのか
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ブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキス、ジョージ・ベンジャミン・・。メシアンには現代音楽系の有名な作曲家達が師事している。もちろん他にも多くの弟子がおり、メシアンの教室ではどんな授業が行われていたか、どんな作曲家や作品分析にメシアンは関心があったかを、かつての弟子たちが証言する膨大なドキュメント。
メシアンが評価していた曲は、グレゴリオ聖歌、ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」、ストラヴィンスキー「春の祭典」。好きな作曲家はモンテヴェルディ、モーツァルト、ラモー、ドビュッシー、ショパン、ワーグナー(これが意外)。とりわけドビュッシーの想像力にあふれた響きと自由な詩情に惹かれた。
ラヴェルやストラヴィンスキーの新古典主義作品はあまり好みでないらしい。新ウィーン楽派では十二音技法のシェーンベルクの音楽より、ベルクの音楽の方に理解があった。バッハ、ベートーベンの厳格さ、構造的思考を宇宙的規模にまで拡大させたマーラー、ブルックナーの音楽は好みではなかった。古代ギリシャの韻律、インド音楽、日本の雅楽には強い関心があった。
メシアンは全体的な形式を把握する構造分析を忌避し、「出来事(和声、リズム、旋法、色彩、音程、鳥の歌など)」に重きを置いていたので、どの分析も要約するのは難しいと、かつての弟子たちは語る。とはいえ、メシアンによる他の作曲家の楽曲分析について、本書では多岐にわたる証言が載っているので、分析の話が好きな方は一読の価値ありです。
「鳥のカタログ」については割と詳しめの授業内容の記述があり、当時の授業に居合わせた気持ちになりました。BGMは大好きなメシアンのピアノ独奏曲「鳥のカタログ」。フランスのピアニスト、ピエール=ロラン・エマールの演奏で。
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Messian: Catalogue d'Oiseaux • Pierre-Laurent Aimard