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三島由紀夫「金閣寺」withフィリップ・グラス弦楽四重奏曲3番「ミシマ」

今月の100分de名著は、少年の頃から三島文学のファンである作家の平野啓一郎さんを指南役に、三島由紀夫「金閣寺」がテーマ。

 幼少の頃から父に話で聞かされ続けた「金閣寺」に憧憬を抱いた主人公溝口が、金閣寺に火をつけるというお話。

 絢爛豪華な日本語で、終盤、主人公の溝口が火をつける前に最後の別れで金閣を眺める場面の、溝口が見た金閣の心象景が印象的です。金閣を音楽にたとえるところが美しいです。

「金閣は雨夜の闇におぼめいており、その輪郭は定かでなかった。それは黒々と、まるで夜がそこに結晶しているかのように立っていた。」
「思い出の力で、美の細部はひとつひとつ闇の中からきらめき出し、きらめきは伝播して、ついには昼とも夜ともつかぬ不思議な時の光の下に、金閣は徐々にはっきりと目に見えるものになった。」
「それにしても金閣の美しさは絶えることがなかった!その美はつねにどこかしら鳴り響いていた。耳鳴りの痼疾を持った人のように、いたるところで私は金閣の美が鳴りひびくのを聴き、それに馴れた。音にたとえるなら、この建築は五世紀半にわたって鳴り続けて来た小さな金鈴、あるいは小さな琴のようなものであったろう。その音が途絶えたら・・」

 三島さんについては ポール・シュレイダー監督の「Mishima: A Life In Four Chapters」(1985年)という伝記映画があり、石岡瑛子が美術を、現代作曲家のフィリップグラスが音楽を担当しています。グラスは、その映画で手掛けた音楽を土台に、弦楽四重奏曲第3番「ミシマ」を書いています。ミニマルで繰り返しの音楽が大変心地よいです。現代音楽演奏の名手クロノスカルテットの演奏で。良かったら鑑賞してみてください♪

グラス 弦楽四重奏曲第3番「ミシマ」
String Quartet No. 3, "Mishima"
https://www.youtube.com/watch?v=tr_xhO02Ikw

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