第14章 障がい者支援と性のこと

私の職場(障がい者就労支援B型&生活介護)には要注意人物とされている人がいる。
私が採用された1日目に職員の方に言われた。
「彼は女の子の近くに寄ってきて、もたれ掛かる、髪の毛に触れる、体に触る等のことがあるから気をつけてね」
・・・
なるほど、彼が要注意とされるわけだ。
採用されてからもうじき4ヶ月になる。
何度触れられそうになったか数えきれないほどだ。
触れないまでも、真横に立ち、深々と、90度くらい深々と、お辞儀をされることもある。

最初、私は内心驚きながら、それを見せないようにと努めつつ、
「◯◯さん、どうされましたか?」と聞く。
彼は、無言のまま、一旦姿勢を元に戻し、そしてまた深々とお辞儀をする。
そして、一言、こう言った。
「何もしてませんよ!」
驚いて一旦動きが止まる私。
私「何かしたとは思ってませんよ。ただ、どうされたのかなって思って。」
彼「何もしてないじゃないですか!何でいつも逃げるんですか!」
私「逃げてないですよ。大丈夫かなって思っただけなんです」
これ以上会話を重ねても、状況が変わらないと判断し、遠くにいる職員を呼んだ。
「⚫️⚫️さ〜ん!」
職員は気づかない。
だが、彼には効果覿面だったようだ。
スーッと離れていった。

月に数回のミーティングで、私は度々この話しを取り上げた。
でも、その度に言われるのは、
「彼には悪気はない。場合によっては“警察に言う”とかでも良いから、言ってほしい。どうしてもということがあれば言ってきてくれても構わないが、基本的には自分で何とかしてもらうしかない」
この時点で、(はぁ?それだけ?)と思ったのだが、さらに続けて、「大丈夫!彼は他者に攻撃的になることはなく、自分の内面に向くタイプだから、安心して!」

学生時代から幼児教育の勉強をし、社会人になっても介護の仕事に携わったことのない私は、全て手探りでやるしかないが、介護(助)者が“(その行動を)やめるように”言うのは容易いが、それで何の解決になるのだろう。
彼の気持ちはモヤモヤしたままで、そしてまた、明日同じことをして、同じ言葉を返されるのか。
私たちに、何かできることはないのか。
日々考えていけば、解決には至らなくても、今よりは改善していく別の方法がきっと出てくるのではないか。
そういう思いがして、仕方がない。
X(旧Twitter)で、フォロワーさんが日々出しておられる記事に、私の日常の思いと重なるのを感じ、勢いで書いてしまった。
拙い文章で申し訳ない。ここまで読んでくださった読者の皆様には感謝いたします。

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