時と思い出を刻むもの
「時計は時と思い出を刻むもの。」
こんな素敵な言葉を聞いてから、
持っていた腕時計を丁寧に扱い、
大切に使っていたのだが、
ついに壊れてしまった。
タイトルの写真の物なのだが、
これは高校からの大親友にもらったもの。
彼との思い出が詰まったものだから、
針が止まっているのを見て絶望した。
電池は変えたばかりだったし、
落としたりなんてしていないから、
完璧に中の歯車がいかれたんだろう。
近くの量販店で修理を依頼したが、
直せないと返されてしまった。
完全にお釈迦になった…と頭を抱えた。
ほとんど諦めかけていたが、
最後の希望で街の方にある
古い時計屋さんを頼ることにした。
とても評判が良かったので、
藁にもすがる思いで持っていった。
断られる事を前提でお願いしてみると、
「20分ほどお時間いただいてもいいですか?」
えっ!?直せるの!!
喜びと驚きが同時に訪れた。
すぐに快諾して、店内を徘徊しながら待った。
この時、私の脳内にはドラマでありがちな
手術室のシーンが浮かんでいた。
まるで家族の無事を祈るように、
時計の無事を祈っていた。
20分後。
綺麗になって息を吹き返した時計が、
再び私の前に現れた。
安堵で涙が出そうになった。
お礼と代金支払いを済ませて、時計に
頬擦りしながらスキップして家に帰った。
時計屋さんはすごいなぁ。と
尊敬の念を抱いたのと同時に、
またこの大切な時計とこれからも
色々な思い出を刻んでいきたいと
思ったそんな日だった。それでは。