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詩「ロード・ショウ」


伸ばしきった前髪を
掻き分け覗く日常は
全てが甘く色褪せて
白熱灯のようにちらつく

じぃ、ち、ちちち。ち。

やさしい夜と地続きの、
朝の冷えた空気が好きで、
甘露に肺を浸して、息を、
確かめながら、瞬き、暗転。

フィルムの継ぎ目の雑音を
指の腹でこじ開けてみれば
それが傷跡だったとも知らず
頭の中で、赤が垂れる

つぅ、た、ととと、ぱた。

耳を伝うは点滴の管、
脳幹を突く、祈りのことば
爪先だけを友として、
切々と地に、星を吐く

滴り落ちた後悔は
この世界で生きたこと
結局のところ
綺麗事がいちばんきれい

すぅ、ひゅう、ううう、すとん。

それでも人の営みは
どうしようもなく泥臭く、美しく
今日もスピーカーからヒットチャート
また性懲りもなく恋をする

あなたがいるから、僕は今でも、
今でも生きて、死にぞこなって、
生まれ落ちた後悔を、胸に、海馬に、この声帯に。
恥を塗りつけ、星を映して。

どうか、どうか、あなたが幸せで、ありますよう。

じぃ、きぃい、きぃ、ぃ、ぃ。
ぶつん。


2024.11.16


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