納豆の話。

冷蔵庫に納豆があると安心する。
小学生くらいのころ、晩ご飯の支度をしているお母さんに「納豆まぜてー」と言われたら、少し深さのある大きめのお皿に納豆三パックをあけて、付属のからしとタレを入れ菜箸で混ぜ混ぜした。そこに刻んだ青ねぎを入れたりもした。
ねぎのツンとした香りと納豆のタレの甘い匂いが混ざり合って既においしい。
炊きたての白いご飯にかけてなっとうごはんにすると、一番のごちそうになった。

納豆を週に三、四回食べる。
買ってきても気付いたらなくなっているとパートナーが嘆いていた。
一人で食べる時、ご飯のお供には納豆が不動のナンバーワンだ。
もし実家に納豆を食べる習慣がなかったら、今ごろ嫌いになっているのかもと思いを巡らす。小さい頃の食習慣は人生に大きく関わっているようだ。

中学生くらいの時、お母さんがカマンベールチーズを食べていた。
円形のチーズをケーキみたいに三角に切って、そのひとかけらをていねいに食べていた。外側の白いカピカピの部分と、内部のとろっとした乳白色の部分。
食べてみると少し、苦味と臭味があって、塩味が強くて独特の味だなと思った。
「ちょっとずつかじると美味しいんやで。今ハマってるんよ」と母が言った。
確かに少しずつ食べると、特別なチーズを頂いてるような感じがしておいしかった。
それからカマンベールチーズが大好きになった。でもわりとお高いんですよね。
たまに特別な気持ちで食べることがある。

先日、母と神社に行った。
母も私も神社やお寺が好きだ。境内を歩いていると、木立の中で足を止めた母が楽しそうに言った。
「ねえ、ちょっとゆっくり歩こう。ゆっくり歩いて、きれいな緑をじっくり見よう」
あっ、そんな事もできるのかと思った。
サッサと歩きがちな私も、歩調をゆるめて自分を取り囲む緑に包まれた。
そうしたら風とか、木漏れ日が身体の中に入ってきた。ふっと肩の力が抜けるような感覚。気持ちがよかった。
私は母に色んな事を教えてもらう。
小さな事から大きな事まで(ヤンマー?)、些細な事からすごく大切な事まで、あとたぶん、できれば引き継ぎたくなかったような事も教えてもらった。
気が付けば大人になっていても生活のそこかしこに、見たり聞いたり味わったりしたものが自分として散りばめられている。

私がおばあちゃんになっても納豆を混ぜているのだろう。そして糸を引きながら食べているのだろう…。
思えば自分の好きな食べものって納豆、ねぎ、チーズなど、においの強い物が多い。
おいしいけど、食べた後の臭いのケア、ちゃんとしたほうがいいですね。はい。

とりとめのない話に付き合っていただき
ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?