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学びによって自分の思考をセルフチェックする

以前、ダニング=クルーガー効果という認知の歪みについて紹介しました。
 
ダニング=クルーガー効果とは、能力や経験の低い人は、自己評価を誤り、自分の能力を過大評価してしまうというものです。
 
このダニング=クルーガー効果が、人間の成長を阻害してしまうのです。
 
今回はここから一歩進んで、自分を成長させるための学びについて書きたいと思います。
 
「プロ教師の会」代表の諏訪哲二さんは『間違いだらけの教育論』(光文社新書)の中で、学びについてこんなことを言っています。
 


学ぶことは自分の正しさ(生き方、感覚)の上に、さらに自分の納得のいく正しさを加算していくことではない。そうではなく、自分の正しさを否定したり、少なくとも、一度括弧に入れたりして新しいものを受け入れ、自己を変革してくことなのである。


つまり、自分の考えはそれはそれとして一度脇に置いて、学ぶことで新しい考えを取り入れていこうということです。
いわば、学ぶことによる思考のメタ化です。
 
メタ化は客観視するということです。客観視するには、自分以外の視点を持つことが大切です。
その自分以外の視点を持つことが、自分以外の考えを学ぶということではないでしょうか。

例えば、数学的思考法で、だれもが分かる論理的な説明をしたとしても、相手には伝わらない場合があります。相手には感情があるためです。その感情の動きは、数学だけでは理解できません。相手の感情を知るためには、相手の背景を知るための、文学、哲学、社会学、心理学が必要となってくるかもしれません。そして、それは数学の理解をより深めたとしても、いつまで経っても手に入らない視点かもしれないのです。
 
学ぶことによって自分以外の視点で考えられるようになるということは、そういうことだと思います。
 
今は、自分の視点のみで突き進み、トラブルを起こすと、取り返しのつかないところまでいく可能性があります。
社会に寛容性が失われているからです。
 
そうであるならば、学ぶことで自分以外の視点を磨き、常に自分の考えは正しいのか、セルフチェックを行える思考を持ちたいものです。

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