【詩】星座
キッチンの三角隅のゴミ箱の中にある
コーヒー粕
へ差す光
に混ざり合う
シジュウカラの鳴声が
降って来る
大気と混じり合う水の香りと
二色の虹が
丘の上の門を潜り抜け
死骸を眼下にした停車場で
時を巻き戻し
水へ沈み込んだ
甲虫が
羽を喪う
赤土の壁の風
に揺れる旗
にたかる小蝿には
アンモナイトが
デンマークの童話を読み聞かせている
汗で灯す蝋燭に
鏡の向こうから現れる
ブルックリンの人形は
撃たれるだろう
卵が空を割って現れる前
に
落ちて来る卵が割れ
1分前に鳴る鐘が時を告げると
リードを噛みちぎった兎
が沈黙に刃を入れて
乳児の眼に映る乳房は破裂する
妊婦は二番目の子供を神父に預けて
賽子を振り
パイプ煙草に火を点ける
南の司令官は
書いていない手紙を抽斗へしまう
愛は乳房で眠り
影が未来を待つだろう
サボテンと水溜まり
がある砂の上
鏡文字が彫られた玉座に
韻を踏んで座る
月の口紅の売春婦が
宿泊名簿を差し出して
名前を持たぬ者だけを
部屋へ入れる