【詩】 月の光
絨毯に乗った女が夜空を回転している
堕ちる先はセロテープの回し車の中だ
歯が折れたモグラはいつも光を求めているが
指輪の言葉を知らないため
テーブルで骨付きの肉を食べたばかりの
聖者の唇を油取り紙で拭っている
耳を切り落とした
象の頭を売るセールスマンは
口から粘々した臭いを今日も吐き出し
指に挟んだ神殿の中のパスワードを
サンクトペテルブルグで元で買おうとするのだが
飴を売る屋台の女は
草原で四方に向かって声を
張り上げるだけで
紀元前のアメリカ人は
路端の安楽椅子に揺られて
今日も煙草をふかしてばかりいる