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感想「侍タイムスリッパー」
【観ることにしたきっかけ】
ネットでこの映画が話題になっていること、さらに「カメラを止めるな!の再来となるか」という記事を読み、興味を持ったので観ることにした。そう、私は話題のものにすぐに食いつくタイプ。ちなみに同じ流れで「カメラを止めるな!」も観ている。
【感想】
低予算で上映館数が限られていたのに人気に火がついて全国で上映、ということと、無名の監督による低予算の映画、というところが「カメ止め」に似ているという話で、それ以外に共通点は見られなかった(もちろんだから良いとか悪いとかではない)。「カメ止め」よりもお金も人も相当かかっているし(撮影場所も「カメ止め」と違ってたくさんあった)、改めて考えると「カメ止め」って、相当お金かけてなかったなんだなと思った。まああの映画はまさに卒業制作を観ている感じで、それも魅力の一つだったのだけれど。
肝心のこの映画の感想だけど、面白かった。大概映画を観る時って展開を想像しながら観るものだけど、それが悉く当たらないという気持ちよさがあった。タイトルにある通り、タイムスリップするところからお話が始まるんだけど、いわゆるタイムスリップもののお決まりの流れに全く沿っていない。もちろんタイムスリップを生かした展開なんだけど、タイムスリップ自体が主軸というよりは、味を決める重要なスパイスの一つという感じ。観ている間、「あれ?思ってた展開と違う」の連続だった。もちろんいい意味で。
予算や時間の制約があったせいだと思うけど、ちょっとした粗はいくつかあった。場面展開の細かいところで「おや?」みたいな。でも本編には関係ないし、逆に低予算感が出ていいご愛嬌だと思う。低予算感と言えば役者さんの衣装もお手頃プライスのメーカー服が多くて、それが妙にリアリティがあって良かった。
そして何よりも話の持って行き方が上手で、後半の流れは「そう来たか。やられたなー」って感じ。あと、個人的には全体を通して嫌なやつがほとんど出てこないのが、観ていてストレスを感じなくて良かった。イライラせずに観られるっていいよね。それから、クライマックスのシーンの撮り方がすごく良かった。魅せ方がすごく上手。それから、エンドロールのまとめ方も一工夫あって、全体的にこだわりを感じた。
役者さんもみんな上手くて、特に主演の俳優がギャップみたいなのをうまく演じ切っていた。ただ、上映時間がちょっと長い。観ている途中で「…長いな」と数回思ってしまった。もうちょっとコンパクトにしても良かったかなと思う(でも無駄なシーンはなかったんだよね)。
確かに潤沢な予算がかかっているようには見えないけれど、脚本と演出と俳優の演技力でその穴を埋めて、それでも余りある完成度だったと思う。桁違いの高い予算で有名俳優をかき集めて作ったのにつまらない映画は山ほどある。結局センスと情熱に勝る武器はないんだな、ということを改めて教えてくれる、痛快な作品だった。