図書館本39冊目 『とんこつ Q&A』今村 夏子

新聞の本紹介で気になって「読みたい本リスト」にメモしながらも、なぜ気になったのかを忘れるくらい、長く「心の積ん読」に放置していました。

四篇の物語が収録された短篇集で、すいすい読めてどれも面白かったです。

ドラマを見ているように情景が浮かんできて、すぐ物語に馴染んでいくのですが、「えっ?そっちに行っちゃうのーっ?!」という方向に話が進んじゃいます。(だいたい何でもそうなのでしょうが)

漂う不穏な雰囲気に、「こりゃ、この人物に不穏なことが起こるぞ…」と不穏な気持ちで前方に注意しながら読み進めていたら、前方ではなく、すぐ真横で不穏なことが起こっていた…、みたいな(「不穏」の四連発だ…)

用心しながら次の話を読み進めるも、また違う方向に行っちゃう…
すごいな…

1話目『とんこつ Q&A』 タイトルが面白い。

2話目『嘘の道』 小学生姉弟の話題に出てくる男子の行く末を心配しながら読んでたら、「君たちの方が心配やーっ」

3話目『良夫婦』 正義感溢れる感じの「わたし」、が気に掛けている小学生男子の身の上を案じながら読んでたら、「あんた、それ…」

4話目『冷たい大根の煮物』 先の2話のことがあるので、当然不穏なことになる、と用心して最初から勝手に不穏な気持ちで待ち構えていたら、「おぉ、そうなの…」

どの話も、全く有り得ない感じがしないどころか、「私も気を付けようっと!」とか思わされたりもして、「あるある」感を感じてしまうのが面白かったです。(ひょっとして、まさかの「あるある」なのか?!)

私は、ドラマを見ても映画を見ても先読みが出来ず、何にでも意表を突かれてしまう、「思うつぼ」の観客です。
小説でもそこは変わりません。

読み切り、一日一篇電車通勤読書になりました。
今村夏子さんの、他の本も読みたいと思います。


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