スパイ教室07感想【《氷刃》のモニカ】敢えて言おう。「尊い」と。
※注意書
スパイ教室07のネタバレしか書いていません。
未読の方は私の文章はどっちでも良いので(本当は読んで貰えたら嬉しい)、急いでスパイ教室を07まで読み終えましょう。
では、本文です。
── 自己犠牲は嫌いだ。
別にそんなこと気にしてなかったのに、昔とあるゲームの感想を読んだ時から心にずっと引っ掛かり、今でも心の奥底でこの言葉が静かに蠢いている。
「物語における自己犠牲は反則だ。」
そのとあるゲームというのは、FF2の事なのだが、実は私はこのゲームをクリアしていない。
語るとこれも長くなるので割愛するが、私はFF2をクリアしていない。
しかし、クリアした人物の感想で、「FF2は自己犠牲が多すぎる。悲劇が多かったらそりゃ物語は盛り上がるけど、それは反則じゃないか。」そんな意見だった。
それまであまり深く考えてこなかった物語における”自己犠牲”。
言われてみれば確かにそうだ。
「ここは俺に任せろ!」「あとは頼んだ!」「離せーーー!!」
とかイメージするだけで容易にその場面が頭に浮かんでくる。
「自己犠牲は認めない。」
この言葉を意識し始めて以降、私は物語の中で自己犠牲シーンが出てきたら、若干覚めた目で見るマンとなってしまったのだ。
そんな私が、スパイ教室07を読み終え泣いた。
自己犠牲は認めないマンが泣いたのだ。
自己犠牲の理由が尊かったのもある。
「気づいて欲しい」と心の底で叫ぶシーンは目も当てられない。
その理由を知った相手の反応も気になる。
その自己犠牲の真意がまた切ない。
けれども私の中では、自己犠牲は(あまり)認めていないのだ。
理解はするし、美しいとは思うけれども、それが理由で作品の評価が上がる事はおそらくない。
もう一度書く。
そんな私が泣いたのだ。
モニカの決断は心打たれるし、伏線の回収はやばいし(まさかのリリィの部屋に居た理由!)、話の進め方も上手過ぎた自己犠牲回ではあったが、最後の最後で泣いた。
意外な人物に泣かされた。
サラの決意に泣かされた。
あれだけ大立ち回りをした自己犠牲を、
もう誰もが救い出しようがないと諦めかけている自己犠牲を、
そんな絶望的な自己犠牲の状況を、
今までほとんど活躍出来ず、ずっと守られてきた「灯」最弱のサラが救い出すと決意したのだ。
私が認めていなかった”自己犠牲”を救い出すと決意したのだ。
こんなお膳立ては想像できなかった。
「灯」最強のモニカを「灯」最弱のサラが救い出す話など。
(モニカは死んでないよね・・・)
モニカを救い出すことが出来て始めて、自己犠牲は意味を成すのだと思う。
彼女を救い出すことが出来たのなら、「自己犠牲も悪くはないよね。」と認めるしかない。
だから頑張れ、サラ!
私に「自己犠牲も悪くない。」と認めさせるんだ。
どう足掻いても白蜘蛛に勝てる気はしないけど、私は心の底から君を応援してるぞ!