家事にそんな楽しみ方、あるんだね…という発見
洗剤をなぜそんなに変えたがるのか?
結婚3年目の夫に対して、ああこの人は自分とは違うんだなあと日々思うところはあるが、家事に関していえば、まずそれである。
私には理解できないのだが、なぜか、洗剤の新商品をとにかく買って試してみたい、という欲求が夫にはあるらしい。
食器洗い洗剤はもちろん、食洗機用、洗濯用、排水口用、お風呂洗い用、トイレ掃除用……
世の中の、洗剤と名のつくものには全般的に興味があるようだ。
たまたまCMで見て、なんか今のより良さそうだから〜、とか、いつもの店で安かったから〜、というライトな感じではなくて、自らネットを検索し、現行品とも比較して、新しい洗浄効果や機能を調べた上で、「今の洗剤も終わりそうだし、新しく出たやつ次に買ってみたいと思うんだけど…」とおもむろに提案してくる。
あくまで「おもむろ」を装ってはいるが、楽しみな買い物特有の、どことなくワクワク感が透けて見える。
せっかくのご提案なのだが、こちらとしては「へえ、そうなんだ」あるいは「まあ、いいんじゃない」という程度の、塩対応と言われても仕方ないテンションでしか答えられない。
私にとっては洗剤なんて(といったら開発者の方々やメーカーさんに失礼ではありますが)、そこまで楽しみに毎回「次はこれかな♪」「やっぱり違うやつもいいな♡」って化粧品みたいに取っ替え引っ替えしてウキウキするものではない、なぜなら実用性と価格重視の日用品ですから。と思って暮らしてきた。
むしろ、一回それを使い始めたなら、詰め替え用のパウチの方が安いし、ボトルを使い捨てずに済んで多少は環境にも良いのだから、しょっちゅうあれこれ変えないでもらいたい。お手頃で使いやすければずっと同じのでいい。それが私の本音です。
夫自身も、詰め替えのお得さも承知してるから、ボトルを次から次に捨てているという買い方ではない。だからこそ、おもむろに、頃合いを見計らって新商品を投入し、新旧の違いを自分なりに分析などして楽しんでいる様子だ。
本来は「ずっと同じのでいい」私がそれでも夫の新商品推しを受け入れているのは、共働きの生活の中、夫も洗濯や食器洗い、トイレ掃除などは自ら進んでやってくれることが大きい。私が料理したら皿洗いなどの後片付けは夫、という風に、お互いに一人暮らしも長かったこともあってか、気がついた方がやるように自然に分担できたことをとても感謝している。
夫氏のモチベーションの一つになっているのが洗剤であるなら、「新商品を試してみたい」というその探究心や好奇心に対して、私も全く異論はない。
そんな中、この2年ほどは洗濯用の液体洗剤は私が結婚前から買っていた「ニオイ、汚れをこれ一本で断つ!」みたいなやつが奇跡的に洗剤好き夫のお眼鏡にかない、しばらく使ってきた。
ただ、去年あたりに一度、「パーフェクト」とつく商品名に刺激されたのか、パウダースティック状の新商品を「試してみたいから」と夫が買ってきて(自腹で)、液体洗剤と同時進行するかたちで時々使っていた。
しかし、試せたことで満足したのか、いつの間にかまた、これまでの液体一本だけに戻っていた。
だから、常にそれの詰め替え用の大容量パウチをストックしてあったし(同じやつが安く買えた!というのも夫の別の楽しみ方ではある)、洗濯用に関してはこれでもう決着がついたかと思った矢先、その洗剤がボトルパッケージごとリニューアルする、という事態が起きた。
私みたいな現状維持派には「え〜なんで〜」である。別に今ので不満はないんだからあまり歓迎できないのである。
しかし我が夫は浮き足だった。敏感にそのニュースをキャッチし、「変わっちゃうんだね」なんて言ってどこか嬉しそうにしている。
で、完全に前のめりで、まだ現状のやつが一本分残っているのに、新しいリニューアルボトルを購入してきた夫。
それはまあいいのだ。流石に今のやつが終わったら使い始めるんだろうと思って、ふと棚の上を見たら、すでに開封されていた。
「え?なんで新しい方を開けたの?!まだ今のやつが残ってるじゃん!」驚愕し、動揺する私。
「昨日、洗濯した時に試してみたくて、新しい方を使ってみたんだ。ニオイとか、違いわかった?」とちょっぴり恥ずかしげな夫。
1センチ髪切ったけどわかった?
じゃねーんだわ。
洗濯してくれてありがとうだけど、無臭が売りの洗剤が勝手に変わったことなんか、こっちは気づかねーし!
そんなことより、なんで今の今、新しく開ける必要あるのだよ?
消費期限があるわけでも腐るわけでもないけれど、それなら大人しくストックしておいておくれよ。。。
自分の理解の及ばない「洗剤が好きすぎる夫」を前に、上記の「イラァ!!!」という感情と「でもこの人の数少ない楽しみを奪っては可哀想か」という謎の(上から目線の)同情とのはざまで葛藤し、
「うん。気づかなかった、かな…」
と、とりあえず答えた私のことを誰か褒めて欲しい。
しかし夫は私の葛藤を知る由もなく、さりげなくこう続けた。
「そうだよねえ〜、いまいち、リニューアルした実感ないよね。じゃあ、次は別のやつで試してみたいのがあるから、今度また買ってくるね」