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高齢な親の介護日記㉑
2025年2月16日 日曜日 晴れ
「お父様がお部屋にいらっしゃいません」
と、父の入居するサービス付き高齢者住宅より連絡があったのは14時頃。
父のサ高住は自由度が高く、自由に外出も外泊もできる。父は毎日お昼ごはんと晩ごはんを併設レストランで食べており、父がお昼ごはんを食べに来なかった場合、ヘルパーさんが個室のインターフォンを鳴らして下さり、応答がないと合鍵で入室し、安否確認をしてくれるようになっている。(それは毎月家賃とは別に3万円支払っているサービス料に含まれる)
ついに徘徊が始まったのだろうかと、慌ててiPhoneを探す機能で父を探すと、人間の歩く速さではないスピードで、同じ市内で移動する父を道路上で見つけた。
父の携帯を鳴らすと、父は出てくれた。
「今までAさんと会っててな、タクシーで今から家に帰るところだ」
「お父さん、どこに行ってたの?」
「わからない」
え?わからない?
本当にAさんと会ってたのだろうか。
と不安になったけれど、無事に施設に戻れたようなのでひとまず安心した。
翌日仕事帰りに父の施設に寄り、いろいろ確認すると、本当にAさんが来ていたことがわかった。
Aさんと父とは高校の同級生で、60年以上の付き合いらしい。私もAさんの名前は昔から知っていた。
実は昨年も突然Aさんが父に電話をして会う約束をしたそうなのだけど、その時は父がその待ち合わせ場所まで自力で行く事ができず会えずじまいだった。何度も何度もAさんから着信があったのを知ってなんだか申し訳なくなり、私は父には黙って直接Aさんに電話をして父の病状をお伝えしていた。
そして今回、父が認知症だと分かりながらもAさんは父に会いに来てくれたのだ。父がひとりでも行きやすい場所で待ち合わせを設定して下さり、しかも予約しないと行けない場所に父の分まで予約をしてくれていた。
そこまでして父に会いに来てくれたAさんには本当に感謝しかない。
どこに行ったか、何を食べたか、どうやって帰ってきたかなんて、全く父は覚えていないけれど、
そんな事、忘れてしまっても大丈夫。
父はAさんと久々に会って、高校時代の自分に戻れたことはしっかりと覚えているのだから。