こだわり抜かれた麻婆豆腐
ここ2ヶ月ほど、家で麻婆豆腐を作ることにハマっている。
丸美屋の麻婆豆腐の素と豆腐をスーパーで買ってきて作るのだが、当初はレシピ通りに作っていた。
しかし、何度も何度も作るうちに、自分流のオリジナルレシピが完成してしまった。
だから今回はそれを紹介したい。
まずスパイスだが、僕は水で薄めた麻婆豆腐の素にプラスで、家にある香辛料を少しずつ、全てフライパンの中にぶち込むようにしている。
一味も、七味も、胡椒も、ラー油も、にんにくも、カレー粉も、全てだ。
そうすることで美味しい店特有の、
「何十種類ものスパイスを使用しています!」感が出るから。
この、「何十種類ものスパイスを使用しています!」感がとにかく大事だ。
実際のところ、素人の僕にはスパイスの違いが分からない。
スパイスを複数使うことで、単純な辛さではなく、奥行きや深みのある辛さに仕上がっていることはギリ分かる。
でも例えば、スパイスを10種類使っている麻婆豆腐から、仮に1種類スパイスを抜いた状態の麻婆豆腐を出されても、自分はおそらく違いに気づかない。
きっと満面の笑みで、
「やっぱスパイス10種類も使うと違うわ!美味い!」
と言っているのが目に浮かぶ。
本当は9種類なのに。
つまりこだわりのスパイスを使うことに、さほど意味はないのだ。
それよりも、とにかく大量のスパイスを混ぜて手の込んだ料理感を出すことが大切なのだ。
だから僕は、スパイス選びにはこだわらず、ただ複数のスパイスを入れることだけにこだわる。
そして、スパイスを複数使っていることを感じながら、目の前にある料理を、「こだわり抜かれた麻婆豆腐」と思い込んで味わう。
自分の脳に、「こだわり抜かれた麻婆豆腐」と思い込ませる。
それが重要だ。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。
次にスパイスを入れた上で、さらにそこに大量のしょうがを入れることが大切だ。
しょうがを大量に入れるのには訳がある。
理由は、汗をかきたいからだ。
本格的なお店の麻婆豆腐を食べると、気がつけば汗をかいてしまうことが多い。
無論その汗は辛さからくるものだが、自分がそこまで辛いと感じていなくても、気づくとダラダラ汗を流していることが多い。
やはり本格的な麻婆豆腐には、質の良い香辛料特有の発汗作用があるのだろう。
だからなのか、市販の麻婆豆腐の素では辛口を選んだとしても、ダラダラ汗をかける状態には中々仕上がらない。
スパイスを大量に入れても汗が流れない。
ゆえに、しょうがを大量投入する。
発汗作用を得るために。
しょうがには身体を温める作用があるため、それほど辛くない麻婆豆腐でも、しょうがさえ多めに入れておけば勝手に汗がどばりと出る。
脳に、
「あれ?辛さの割に身体が熱いな。そういや、汗もかいてきたぞ!てことはこの麻婆豆腐、本格的なお店の麻婆豆腐だ!気づいたら汗かいちゃう系の麻婆豆腐だ!」
と錯覚させることが出来る。
それが狙いだ。
つまり、しょうがの発汗作用を、本格的な麻婆豆腐特有の発汗作用だと自分の脳に思い込ませることで、美味しく感じられるという訳だ。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。
そして、大量のスパイスと大量のしょうがをいれた麻婆豆腐の素を、豆腐と一緒にフライパンで強火で煮込む。
無論、強火にするのは「中華料理は火力が命」と言われているからだ。
強火の方が本格的な感じがして、脳が美味しく感じやすいからだ。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。
そして煮込み時間も市販のレシピよりも数分長くする。
長く煮込むことで豆腐に味が染みるからだ。
また、
「豆腐に味が染みている」
「煮込み時間が長い」
というトピックは、本格的な料理の売り文句としてよく聞くからだ。
よく聞く売り文句を手に入れた麻婆豆腐の方が、美味しい麻婆豆腐に仕上がっていると脳が思い込みやすい。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。
そして、麻婆豆腐が完成した後も、盛り付けるお皿は家のお皿の中でいちばん高級なお皿にしたり(結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い)、
盛り付けた麻婆豆腐の上に白ネギをちょちょっと盛り付けて、彩りを豊かにしてみたり(結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い)、
そういう工夫を施すと、家で食べる麻婆豆腐が、まるで本格的なお店の味に変わる。
だからぜひ読者の方も、上記のレシピで召し上がっていただきたい。
家にあるような食材だけで完成するので。
あと、食べる時は陳建一さんおすすめの麻婆豆腐の食べ方に倣うと、より美味しく感じられると思う。
別にどんな食べ方をしても、本当は味わいなんて変わらない。
でも、陳建一さんの教え通りに食べた方がなぜか美味しく感じるので、脳に感じさせることが出来るので、良かったら実践してほしい。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。
結局、プラシーボ麻婆豆腐がいちばん美味い。