年上の女性たちの本から学ぶ日々 ◇うつ回復記 その7◇
2019年に43歳でうつ病を発症してから続いた苦しい状態がだいぶ落ち着いてきた45、6歳の頃、これから先の人生をどう生きていくかを考えるようになった。
どん底期のミッドクライシスはいくぶん和らいでいたとはいえ、年齢を重ねて生き続けていくことへの不安は消えなかった。
そんな中、書店やAmazonで、中高年の女性たちの人生やライフスタイルをテーマとする本を探し始めた。
◆◆◆
まず手に取ったのは「整える、こと」(広瀬裕子 PHP研究所)
「整える」というのは、私にとって、この先を生きていく上で必須のキーワードだ。
心も体もめちゃくちゃの大混乱状態を経験した私には、「かろやかに 快く」なんて、はるか遠い理想形だったけれど、とりあえずヨロヨロしながらでも「整える」ことに向かうスタート地点に立ってみようかと思えた。
◆◆◆
同じ著者による「55歳、大人のまんなか」(PHP研究所)。
55歳。約10年後の自分。ちゃんと生活できているだろうか。想像もつかなかった。
年をとることが嫌というよりも、精神年齢が低いまま年ばかり重ねて、なんだかよくわからない年齢不詳の人になっていそうだなと思うと、気が滅入った(笑)
まあ、わけわからん55歳になったらなったでいいから、日々の小さな選択を自分の心に正直に選びながら進んでみるかという気持ちになった。
◆◆◆
「50歳からの私らしい暮らし方」(柿崎こうこ、エクスナレッジ)
こちらは人気イラストレーターさんによる「人生後半戦に備えたい、暮らしを整える『小さな工夫』」(帯文より)をまとめた、可愛くて実用的な本だ。
「はじめに」の文章の一節に目が止まった。
柿崎さんもそういう経験をしたのかと、勝手に親近感が湧いた。
長年にわたり第一線で活躍している方なので高収入であろうけれど、フリーランスとしての先々を考えて、家賃を下げるために郊外のマンションへ引っ越して始めた新たな生活におけるさまざまな工夫を読んで、私もまずは部屋を居心地よく整えようという意欲が湧いてきた。
◆◆◆
「孤独を楽しむ本 100の私の方法」(田村セツコ、興陽館)は、女性イラストレーターの先駆け、田村セツコさんが2018年に80歳で出版した本。
という現実を踏まえながら、こうもおっしゃっている。
寝たきりのお母様と妹さんのベッドの間にイーゼルを立てて絵を描きながら、介護を続けて看取り、その後は86歳の現在もバリバリ仕事をされながらシングル生活を続けている田村さんは底知れぬほど強い方だと思う。
自分とはほど遠い・・・。
とはいえ、長年、原宿で一人暮らしをし、19歳の頃から変わらないという創意工夫にあふれたロリータ系ファッションで街を闊歩する姿には、理屈抜きで励まされる。
私も一人の時間にいろいろ好きなことをやっていこうと思わせてくれる、力強い憧れの大先輩だ。
◆◆◆
これらの本を読んで、未来への不安にとりつかれながらも暮らしを整え、ソロリソロリと前へ進んでいこうという気持ちになってきた。
うつになってから止まっていた時間が少しずつ動き出したような、そんな感覚があった。