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これまでに読んだランニング本いろいろ②

前回の記事の続きです。
まずは男くさい2冊をご紹介。

「SHOE DOG  靴にすべてを。」(フィル・ナイト著、大田黒奉之訳、東洋経済新報社)

父親から借りた50ドルを元手に、アディダス、プーマを超える売上げ300億ドルの会社を創り上げた男が、ビジネスと人生のすべてを語る!

1962年晩秋、24歳のあるアメリカ人が日本に降り立った。
彼の名はフィル・ナイト。のちに世界最強のブランドの一つとなる、ナイキの創業経営者だ。

オニツカという会社がつくるシューズ「タイガー」に惚れ込んでいた彼は、神戸にあるオニツカのオフィスを訪れ、役員たちに売り込みをする。

自分に、タイガーをアメリカで売らせてほしいと。

スタンフォード大MBA卒のエリートでありながら、なぜあえて靴のビジネスを選んだのか?
しかもかつての敵国、日本の企業と組んでまで。

「日本のシューズをアメリカで売る」。

人生を賭けた挑戦が、このとき始まった!

Amazon作品紹介文より

ナイキ創業者、フィル・ナイトの自伝。いかにもナイキで、いかにも東洋経済新報社な熱気ムンムンの本である。
500ページを超える大著だが、訳文が読みやすく、すいすい読了した。

仕事で何度も行きづまるたびに、黙って走りに出かけるフィルさんの姿が印象的だった。

昔から、ナイキのロゴマーク✔と”Just Do It”のスローガンが好きだ。
あれを見ると、「とにかくやれよ」「さっさとやれよ」という声が脳内で響いてきて、「はいはい、やりますよー」と、重い腰をわりとスッと上げて、走りに出かけてしまえたりする。

もう何年もミズノのピンクと紫の素朴なシューズを履いているけど、だいぶ古くなってきたので、次はナイキの最先端のシューズにしようかな。

◆◆◆

”Kicksology: The Hype, Science, Culture & Cool of Running Shoes”
(Brian Metzler、VeloPress)

著者は走ることが大好きなランニング雑誌記者であり、これまでに1500足以上を試してきたランニングシューズおたく。

有名なコレクターの家で数々のビンテージシューズを見ながらデザインの歴史を振り返り、ナイキをはじめとする厚底シューズの流行の変遷を概説し、中国やボストンの工場を視察して製造の実態を目の当たりにし、フルマラソンでサブ2を目指すアスリートを支えるメーカーの挑戦を追う。

そして激しい変化を続けるこの業界における各ブランドの今後の戦略を紹介し、シューズの未来に思いを馳せる。

「BORN TO RUN 走るために生まれた」の著者、クリストファー・マクドゥーガルも絶賛の書だ。

あきれるほど著者のマニアックぶりが際立っている本。
読解力不足と、シューズの構造の知識不足とで、内容を十分理解することはできなかったけど、ランニングシューズ産業の実態がそれなりにわかって面白かった。

この2冊は特に表紙が気に入っている。「SHOE DOG」はマットな感じの黒がおしゃれ。

「かっこいいでしょう」と、現物を人に見せて自慢したくなる。

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ここからは打って変わってキュートな4冊。いずれも大人気コミックエッセイ作家のたかぎなおこさんの作品。

「マラソン1年生」
「マラソン2年生」
「まんぷくローカルマラソン旅」
「海外マラソンRunRun旅」
(すべてメディアファクトリー)

とにかく面白い。
最初はヒーヒーいいながら苦しそうに走っていたランニング初心者の女子たちが、練習を重ねて順調にタイムを伸ばし、国内外あちこちの大会に参加する様子がとても楽しくて、自分も走りたくなってくる。

完走後、みんなで頑張ったごほうびに飲んでいる「ごほうビール」が美味しそう。

たかぎさんの担当編集者である、大食漢のかとうさんのキャラが秀逸。
前回の記事で紹介した金哲彦コーチも登場してます。

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”Your Pace or Mine?: What Running Taught Me about Life, Laughter and Coming Last”(Lisa Jackson, Summersdale)

最後を飾るのは英国在住の女性によるランニングメモワール。
著者は「世界最速」ならぬ「世界最遅」のランニング雑誌記者と自称する。
90以上の大会に参加し、そのうち最下位を20回記録している。親近感湧き過ぎ(笑)

各章末に、著者が世界中で出会った市民ランナーたちへのインタビューが掲載されているのが良い。

病気、失業、離婚、大切な人の死など、打ちのめされるほどの苦難を経験しながらも、走ることで心身を整え、一歩一歩前へ進んでいく人々のランニングにまつわるライフストーリーに勇気づけられる。

著者自身も、最高のラン友でもあった最愛のお母様をランニング中の不慮の事故で失うという大変つらい経験をしている。

それでもなお、走ることを楽しみ、笑い、他者とつながる喜びをユーモアに満ちた温かい筆致で綴った、素敵な1冊である。

◆◆◆

2回にわたり、長々とお気に入りのランニング本たちを紹介させていただきました。
これから先はどんな作品が私の本棚に加わるかな。
楽しみだ。


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