「最後の子育て」を受け終えて
先日、新聞をなんとなく眺めていると、ある読者の投稿が目にとまった。
投稿者は60代の女性で、90代のお母様の看取りの時が近づく中、ふとラジオで聞いた以下のような話にはっとして、救われたような気持ちになったと言う。
「親が年を取って衰えていくのはつらいことだが、それを子どもに見せるのは親としての最後の子育てなのだ」
(2023年7月1日付朝日新聞朝刊「声」欄の投稿、「老いた母からの最後の子育て」より要約させていただきました)
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「あぁ、まさにその通りだ」と胸を打たれた。
私の母も、自らが死にゆく姿を見せることで、私に最後の子育てをしてくれたのだ。
母が亡くなってまだ日が浅いが、老いて死に近づいていくという生身の人間の現実を目の当たりにしたことが、私をようやく少し大人にしてくれたように感じている。
最後の子育てを受け終えて、これから私は自分で自分を育てていかなければならない。
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母の葬儀の翌日、ウンベラータの鉢替えをした。
根を掘り出し、新しい土を入れ、水をやって完了すると、ウンベラータをしみじみと眺めた。
昨年、葉が全部落ちて一度丸裸になったウンベラータは、もう芽が出ないものと思っていた。
そして、4年前にうつ病を発症して苦しみ抜いていた頃の私は、もう自分は再起不能かもしれないと絶望していた。
だがしかし・・・ウンベラータは再び芽を出して、着々と育ってきている。
そして私も時間をかけてなんとか落ちついて、人生を立て直すことができつつある。
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ウンベラータはこれから根を張り、枝葉を伸ばして大きくなっていくことだろう。(今度こそ枯らさないからね!)
そして私も、重心を低くして、自分の足でしっかり歩いて成長していこう。
「いい年をして頼りない娘だけど、大丈夫かな?」と、空の上から心配顔で見守っている母が、安心して笑顔になれるように。