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障がい者雇用の社員の評価について

仕事をしたら、正当に評価され、適切な処遇を受ける。
これはどの労働者にも等しく認められた権利です。
でも、実際は障がい者雇用で働いている方を正しく評価する制度が機能している会社は少ないのではないかと思います。

もちろん、私の知る限りですが、身だしなみとか、時間を厳守するとか、そういう項目で評価をしている会社も多いように感じます。
もちろん、その評価に意味がないとは言いませんが、成長意欲が高く、会社に貢献している社員を、この基準で評価するとしたら、結構無理があります。

また、障がい者の給与水準を、最低賃金をベースにしているような場合(これはかなり多い)近年の最低賃金の上がり方では、せっかく評価で差がついても、最低賃金の上がった分で調整が入った結果、低評価者と高評価者の差が小さくなってしまう、という場合もあるようです。

福祉的観点からすると、障がい者にとって最も重要なのは仕事を継続することであり、個々人に特性があり、配慮すべき点も様々なので、例えば能力や成果などで評価をするのはふさわしくない、という意見もあります。

それも理解できるのですが、聞きようによっては、障がい者雇用では、雇用率の達成が最大の会社への貢献、と言われているようで、ちょっと傷つきますよね。
ちゃんと評価しないのは、「悪平等」という言葉も思い浮かびます。

人事評価には、大きく分けて「定量評価」と、「定性評価」があります。
定量評価は、営業などの評価に適していて、例えば期初の売り上げ目標に対しての達成率、もしくは絶対額などで評価をするものです。

定性評価は、行動や振る舞い、考え方、能力など、数値で測れないことを評価するやりかたです。

私が新卒で会社に入った昭和の末期までは、「能力」が評価の主流でしたね。
その後、定量評価の考え方が出てきて、また、能力があっても業務で発揮していなければ評価の対象にはならない、という考え方に変化します。

定量評価は、一見非常に客観的な基準で良さそうなんですが、そもそも営業のように、仕事は数値で測れるものばかりではありません。
例えば、経理のスタッフに定量評価の目標設定をしてもらうと、「誤謬率5%以下」みたいな目標になりがちです。

いや、目標は間違いゼロにしてよ、という突っ込みもありますが、これでは正しく評価できないですよね。

私が説明するときは、「目標である1年後の状態を想定する」「評価の時期には、その状態に対して、何%達成できたか、を評価する」というような言い方をしますが、障がい者や、いわゆる一般職の評価には馴染まない面もありそうです。
(一般職は定量評価の対象にしない、という会社も結構あります)

で、私がいつも提案するのは、コンピテンシー評価です。
これは、高い成果を挙げている社員が、どう振舞い、どう行動するかを評価の基準にするものです。先ほど言ったように、能力が高くても、具体的に行動に現れない場合は、評価の対象にならず、評価の規準は、「〇〇ができる」ではなく、「〇〇している」というように記述されます。

この方法で評価すると、割と評価する側される側に納得感がありますが、デメリットは作成に手間と時間がかかり、メンテナンスも必要ということかな。

どんな方式でもいいのですが、障がい者雇用でも、正当に評価して、納得感のある処遇をする会社が増えるといいですね。

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