新入会員の最初の工作は『浮沈子(ふちんし)』
今年度,発明クラブの基礎コース(小学校3年,定員10名)は13名の新入会員を迎えた。
その初めての工作は『浮沈子(ふちんし)』。名前の通り,水の中で赤い金魚の容器が浮いたり沈んだりするおもちゃ(上の写真)。
金魚の形をした柔らかい容器(キャップあり)に水を半分ほど注入し,それをペットボトルの中に入れる。ペットボトルには空気を残さないように飲み口から溢れるまで水を満たす。
金魚の中に空気を残すのは水圧で縮みやすくするため。ただ,そのままだと浮力が大きすぎるので,金魚の尻尾に重り(上の写真ではナットを使用)をつけてギリギリ浮くように金魚内の水量を調整する。
ペットボトルを指で押して圧力を加えると,その圧力が金魚(浮沈子)にもかかり,縮んで体積が小さくなる。すると,浮力が小さくなって金魚は沈む。
ペットボトルから指を離すと金魚にかかっていた圧力がなくなり,元のように上まで浮いてくる。
実験する場合は,指で押すペットボトルの位置を変えても同じ現象が生じるのを確認しよう。
学術的に言えば,理科で習う水中の浮力と圧力の原理を利用している。浮力は押しのけた水の体積(水の比重は1なので体積=重さ)に等しい(アルキメデスの原理)。また,水の一部に加えた圧力は,どの部分にも同じように伝わる(パスカルの原理)。
つまり,ペットボトルを指で押すと,その圧力はペットボトルの他の場所や金魚の容器にも同じようにかかる。金魚容器は柔らかく,しかも空気が残っているので縮んで体積が小さくなる。その縮んだ分だけ浮力が減るので沈み始める。
ペットボトルから指を離すと金魚容器にかかっていた圧力は無くなり,元の大きさに戻って浮力が回復し,再び浮かび上がってくる。
これをうまく演出するとマジックになる。「ペットボトルが動かないように」と言って底の部分を片手でつかみ,もう一方の手を高い所からふたの上に向かって「沈め!」と言いながら押し下げるジェスチャーをする(視線を引き付ける)。同時に,ペットボトルの底の方を指でつぶすと金魚が沈む。
次に,「浮かび上がれ!」と言いながら両手を上の方へ大きく動かす(底を押さえていた指を離す)と金魚は浮かび上がる。
浮沈子の工作と実験は簡単にできる。動画サイトを検索するのもいいが,自分の手で作って実験するハンズ・オン(hands-on)が最も効果的でオススメ。
家には金魚形の容器がないから(あるいは,ナットがないから)作れない?
. . . 容器はお弁当用の醤油入れや小さなビニール袋(チャック付き)など,重りはクギやクリップなど,その気になれば何でも代用可!
今日の初めての工作が子供達の心にずっと残ることを願う。私自身がそうであったように,,
P.S. 当日は腕章を付けた記者が写真を撮っていた。市の広報なのか地元の新聞社なのか聞き忘れたが,今日の工作がどこかで記事になっているはず。
それを見て興味を持った子供(の親)が来年,入会して(させて)くれるかも。