
女が「人」として出てこない作品は見る気がしない
「これ、絶対面白いから見てくださいよ」と映画をオススメされました。
が
人が「絶対面白い」と言ったものが本当に面白いことはまずありません。
特に「絶対」部分が怪しい。
「わたしは面白いと思ったけど、まぁ…個人差あるかな」
くらいの方が、見ごたえのある作品である可能性が高い。
と思っているので、今回も懐疑的です。
念の為、どんな話なの?と聞いてみたところ
「男の子が冒険の過程で成長していく物語です」と。
あぁ… そういうやつか。
ところでわたしは「刑事コロンボ」シリーズが好きです。
でも、初期の頃のコロンボにはバカな女しか出てこないのが難点だと思っています。
富める男性に縋ることしか考えていない女
その場の感情だけで動いて全然学ばない女
顔がいいだけの男に次々骨抜きになる女たち‥
自分の頭で考えて行動する、芯の通った聡明な女性が登場するのは、放送開始からしばらく経って後のこと。
それまで女は、ほぼ全員がバカ役です。
バカがいてもいいのですが、9割バカっていうのは偏り過ぎている。
(たぶんこれは、時代背景も大きく関係していると思いますが)
同じ「男の子が冒険の過程で成長していく物語」でも、『ONE PIECE』は途中で脱落したけど『ドラゴンボール』が好きだったのは、たぶんブルマの存在が大きい。
ブルマは最初から、自分の頭で考えて行動する、芯の通った聡明な女性として描かれているから。
(『ONE PIECE』にもナミがいるけど)
聖女でも、
娼婦でも、
魔性の女でも、
無上にやさしくも
極度に厳格でもない、
都合よくもないし、
主人公の付属品でもないし、
いい場面で死んだりもしない、
つまり物語における単なる「役割」「部品」として登場するのではなくて、悩んだり苦しんだりしながら生きている、存在感のある「人」として女性が出てくる物語でないと、わたしは見る気がしないのです。
ヘテロセクシュアルのシスジェンダー男性からしたら、へ?何言ってんの?と思われるかもしれません。
だって、異性愛者の男性は大昔から大抵、「人」として描かれていますもんね。
ピンと来ないのも無理ありません。
たぶん、性的マイノリティとされる方々はもっと酷い扱われ方をしてきたんじゃないかな。
体をくねらせ小指を立てて女言葉を使う、とか
片耳にピアスを開けて筋肉隆々でタンクトップ、とか
ただ同性同士でいちゃいちゃしている姿だけ見せて終わる、とか
最終的に死んで「かわいそうな人」になる、とか
最悪、登場すらしない(いない人として扱われる、描かれない)とか。
外から見たイメージだけで勝手に役割を与えられて、当事者の意見がまったく考慮されていない物語は、見るに堪えません。
わたしが女性作家の小説にどうしても手を伸ばしてしまうのは、男性作家の作品にはどうしても、役割をこなすだけの、客体化された女性の登場頻度が多いように思えてしまうからかもしれません。
そんなことない人も勿論、いるんですけどね。