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思い込みや偏見はわたしにもある

羽のついたアリが、わたしの手に止まっています。

わたしはセミとG以外の虫についてさほど苦手意識がないので、今そこにいたいならいればいいよ、と振り払うこともなくそのままにしています。

わたしは驚かされることがきらい
大きな音を出すものがきらい

それが虫であれ、人であれ、同じことです。

高速で不思議な動きをしながら暗闇から突如出現するG、こちらに向かって飛んでぶつかってきたり、バラエティ番組レベルのデシベルを発したりするセミ、前触れもなく近付いてきて後ろからワッてしてくる人、急に大声で喧嘩し始める人、それらはわたしにとってみんな、同列なのです。

アリはわたしを驚かせないし大きな音も出さないから、きらいではありません。
手に止まっている、くらい問題ありません。

これが羽のある種族のアリなのか
一般的なタイプのアリのオスなのか
わたしには判別がつきません。

でも、もしオスなら君、こんなところでわたしの手に止まっている場合ではないんじゃないの、と言いたい。

よく地面でせっせとエサを運んでいる、いわゆる働きアリは、基本的にみんなメスらしいのですよ。

女王アリが巣を形成し、1匹でメスばかり産み続ける。その子である姉たちは妹たちのお世話をしたり家族のエサを運んできたり外敵と闘ったりする。彼女たちには羽が無い。
オスは生殖の為にほんの一時期だけ産み出され、結婚飛行と呼ばれる旅を行う。生殖を成し遂げたオスも、遂げられなかったオスも、メスか他の生き物か土の栄養となる形で短い生涯を閉じる。遠くまで旅を行えるよう、彼らには羽が有る。
それが一般的なアリの仕組みです。

アリやハチの生態はわたしにとって衝撃的なものだったので、今までも度々noteで紹介している気がします。
(ちなみに初めて彼らの生態を知ったのは『風の中のマリア(百田尚樹)』を読んだ折です。)

オスとメスが対となって子を産み育てるという、現在人間界で「普通」とされている仕組みなんて、生物界から見たら全然一般的じゃない。むしろ特殊。という事実はわたしの心を強くします。

すぐそこに、メス同士で集団を形成し協力して子育てしている、生物界の大先輩がいるのですから。

アリのオスだって、せっかく産まれてきたのだからさぞや自分の子孫を残したいだろう、というのは、彼とコミュニケーションを取る手段を持たない人間であるわたしの思い込み、あるいは偏見かもしれません。

へぇ、こんなところにシミがある。
なんかあったかい。
骨ばってるところと柔らかいところがあるな。

わたしの手に止まって、彼はひとつの学びを得ている、のかもしれません。
それも彼の自由だ、好きにしたらいい、と思うのです。

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