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けど、の続きをいいなさいよ

新人さんが、有給休暇を取っています。
4月から新しい環境で新しい人間関係を築き新しい仕事を執り行って、さぞ骨の折れた数か月だったことでしょう。ゆっくり休んでいただきたいものです。

新人さんは無事、引継課程を修了されました。
今は、新しく担当となった仕事を新人さん主導で進め、分からないことやイレギュラー案件が発生するとそれぞれ元の担当がフォローする、という段階です。

自分から引き継ぎしていた時期はただ全力で慌てふためいていましたが、他の社員からの引き継ぎを傍で観察していると各々の特色がよく出ており、わたしの苦手なロールプレイングを積極的に取り入れるなどする様を、大変興味深いものとして眺めたものです。

そんな新人さんの休暇前日、管理職が声を掛けているのを見かけました。

管)明日からお休みだよね?
  請求書っていつ作るの?
新)今日作ります。
管)ふーん。それならまぁ、いいけど。
新)…今日の作成でも大丈夫ですか?(不安気)
管)うん、まぁ、大丈夫だけど。
新)あの、休まない方がいいでしょうか…
管)いや、そういうわけじゃないけど。

「けど」って、なんだよ。

俗に言う「含みを持たせた」言い方が、わたしは嫌いです。
詳細はわざわざ言わないけど、こちらの意図を汲みなさいよ、という薄気味悪さ。
相手に忖度してもらうことが当たり前って、あんたどれほど偉いんだい?と思ってしまいます。

確かに新人さんの休暇日程は、いわゆる月初に当たります。
我々事務員にとって月末月初は、通常業務に請求/支払業務が加わり、〆作業や会議資料の作成などで忙しい時期です。

でも、新人さんは正式な手続きを踏んで、1か月も前に休暇の時期を申告したのです。

もし不都合があるのならもっと早い段階で日程の変更をお願いすることは出来たわけだし、引き継ぎ直後の今であれば元の担当が仕事内容を覚えているので、新人さんがいつお休みを取られても混乱は最小限のはずです。

たぶん、管理職の「けど」はこういう不満を含んでいるのでしょう。

「月初は忙しいことを知ってて休むんだ」
「もし訂正が入ったら俺が対応するんだよね」
「申し訳なさそうにしたり、しないんだ」

嗚呼!
性格が悪い!

指導する立場で、仮にも管理職に就いているのなら、「けど」で止めるのではなく、きちんと続きを言うべきだと思うのです。

休みの間、問合せが来たときスムーズに対応できるように引き継ぎをしっかりせよ、とか、今日の作成では支払金額が確定しない部分があるから休み中に俺がやっておく、だから下準備だけはしっかりしていって欲しい、とか

明確に指示したれよ。
相手は新入社員なんだから。

俺の思いを汲み取ってもらおうとするな。
甘えてんじゃねえ。

休むなと言えないことは分かっているし、日程を調整してもらうのは気が引ける。人事に告げ口されて俺の評価が下がるのは嫌だし。でも何か文句のニュアンスを伝えておきたい、相手から謝罪の言葉を引き出したい、恩を売りたいという浅ましい考えが透けて見えるのは何とも嫌なものです。

言う必要がないと判断したら笑顔で送り出す
言うべきだと判断したら悪者になってでも言う

わたしはそういう、1本筋の通った大人として生きていきたいと思います。

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