「今はそういうの言ったらダメだから」って
よく聞くんですよね。
差別やヘイト発言、職場で下ネタを発した人なんかに「今はそういうの言ったらダメだから」って注意してる人。
でも
本当に「今」だから言ったらいけないのでしょうか。
本当は、昔から言ってはいけなかったのではないでしょうか。
などと考えてしまいます。
「今はそういうの言ったらダメだから」
敢えて正確に表現するならば
「昔だってそんなこと言ったらダメだったけど、強者もしくは多数派の傲慢によって野放しになりがちでしたね。でも今、昔よりは少しずつ弱者や少数派の意見も大事にすべきだという考え方が普遍的になりつつあって法改正も行われ、差別発言やハラスメントはきちんと罰されるようになってきたから、あなたも昔の感覚をアップデートしないと痛い目を見ますよ。」
ということなのではないでしょうか。
たまたま生まれついた性別や国、地域、家族、宗教。肌や髪や目の色、障がいや病の有無。
わたしだって偶然、体の性と性自認と一致した日本人女性として生まれただけで、わたしと違う人がいたとして、それは「違う」というだけであってどちらが優れているわけでも劣っているわけでもないと思います。
ただ、それは「今」そう認識しているというだけのことで、20年前はわたしにも日本に住む日本人として、また性的マジョリティーとして、無意識の驕り高ぶりがあったと思います。
自覚のない言動で人を傷つけてきたでしょう。
今の自分が映像や音声で昔の自分を客観的に観察したら、余りの無知っぷりに目を覆いたくなることでしょう。
改ざんしている、でっち上げだ!こんなに酷くなかったはずだ!と震えながら叫びたくなるかもしれません。
若さに任せて調子に乗っているわたしに「あなたは間違っている」と言いたかったけど、言えなかった人もいるかもしれない。
当時のわたしが何か決定的に酷いことを言ったことで、今も恨んでいる人がいるかもしれない。
そういう反省があるから、わたしは「今はそういうの言ったらダメだから」などと訳知り顔で発言する人にモヤモヤするのだろうなと思います。
いずれは、公的な場所で差別的な発言をしていた人がいたなんて、しかも立場の高い人がそんなことを我が物顔でしていたなんて、信じられない、という時代になるのでしょう。
でもそれって、いつのことになるのでしょうね。
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