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働かないことへの憧れが増している

わたしが大学を卒業した頃、世の中は不況で就職は極めて困難、のちに我々は「ロスジェネ世代」「就職氷河期世代」などと呼ばれました。

失われた世代。
すごいネーミングですが、言い得て妙です。

この時代、就職できることは誉れだ、働かせてもらうのは有難いことだ、採用されたらそのご恩を会社に、ひいては社会に返していかなければならない、みたいな講義を就職活動中、様々な企業の説明会で聞いた覚えがあります。

働き口を得られない恐怖、みたいなものも、このときに嫌というほど叩きこまれました。

わたしはこれまで3回転職していますが、失業保険を申請したことはありません。3回とも働きながら転職活動を行い、有休消化後、ほぼ途切れることなく次の会社での就労を始めているからです。

我ながらストイックです。

転職のタイミングで失業手当を貰いながら数か月何もせずフラフラしていた、などという話を聞くと、そういう選択肢もあったのかという気持ちと、でもわたしにその心の余裕はなかったなという気持ちが綯い交ぜになります。

働かざる者食うべからず

弱者度外視のすごいことわざですが、わたしにはこの精神が内包されていました。ウィークネスフォビア(弱者嫌悪)もあったでしょう。

傷付いてなんかいない
別に大変なんかじゃない
かわいそうなんかじゃない

今振り返れば、転職の度に体調を大きく崩していたし、頭痛も生理痛もしんどかったし、這う這うの体で日々を送っていました。
辛かったねえ…と、あの頃の自分をヨシヨシしてあげたい。

恩返し、という考え方にもわたしは今、懐疑的です。

採用してもらった恩を会社や社会に返す?
採用を決めたのは会社側なのに?
こちらは労働者として労働時間と労働力を提供しているのに?
給与は施しではなくそれらの対価なのに?
これ以上、何を返せと言うの?

労働は善
不労は悪

そんなものは、経営者目線の理屈です。
わたしはいち労働者なのに、なぜ経営者に忖度せねばならぬのか。

わたしは、本当は最初から、自分のことを一番に考えてよかったのです。
それに気づいた今、わたしは自分のことを一番に考えます。

そうすると、働かないことへの憧れが湧いてきます。
これまで焦りと恐怖と義務感で、尊敬できない上司の元で大して楽しくもない仕事をし続けてきたけれど、そろそろこれ、止めてもいいんじゃないか。

いや、とりあえず正社員の座を得てそこそこやれているのだから、現状維持が得策なのだろうか。老後の心配もあるしなぁ。

揺れる日々です。

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