長靴があれば、水たまりも怖くない
雨の日の散歩が好きです。
雨用のショートブーツを買ってから、殊に好きになりました。
道具って大事ですね。
これがあれば大丈夫、と思えるものを持っていて、自分の意志で自由に使えるという安心感。
雨を弾く山用のウインドブレーカーにこのブーツを履けば、雨でも晴れの日のように過ごせます。
そもそもわたしは雨の日を「悪い天気」と認識していないところがあります。
晴れたら晴れたで気分がいいけど、雨は雨で好き。
とは言え外出はちょっと億劫になるところを、道具で補っているのです。
雨用のショートブーツを履いたら、敢えて水たまりの中を歩く、という子どもみたいなことも、してみます。
わたしは歳をとったけど、わたしのなかにはちゃんと、小学生だった頃のわたしもいるのです。
歩道の白線の上を落ちないように歩いたり、
散歩道の飛び石があるほうを選んだり、
階段を一段飛ばしにしてみたり。
オバチャンになったわたしも、そういうことがちゃんと楽しい。
適切な道具を準備しておけば、マイナスに思えるような物事も楽しめるようになります。
…というのは何も、雨の日に限ったことではありませんね。
春夏秋冬、それぞれの季節に合うちゃんとした服を用意しておくこともそう。
いつ何時、急なお呼ばれがあったとしても、自信を持って出掛けられるように。
お気に入りのハーブオイルを持ち歩くのもそう。
頭痛が起きたときや疲れたとき、香りを嗅いだりこめかみに塗れば大丈夫、と思えるように。
胃が重くなったら、
お腹が痛くなったら、
目が疲れたら、
それぞれの自分の対処法を、わたしはこの40年間で身につけてきている。
わたしが若い頃に戻りたい気持ちがないのは、そういう理由もあるかもしれません。
わたしはわたしが、どうすれば心地いいのかを知っている。
どうしてあげたら機嫌を直してくれるのか知っている。
だからかなり高確率で、毎日を気分良く過ごすことができる。
これは、何もしなくても肌がつるつるできめ細やかで、風邪以外の些細な身体の不調を気にしていなかった10代の頃のわたしには無かった知見だな、と思うのです。
大人にはメンテナンスが必要だけど、わたしはわたしのメンテナンス方法を知っている。
予期せぬアクシデントに見舞われてしまってから、どうしたらいいのか狼狽えて途方に暮れていた若い頃。
あの経験は無駄じゃなかったし、あれはあれで楽しかったけど、戻りたいとは思わない。
大人って、楽しい。