斜陽【読書感想文】

“これから東京で生活して行くにはだね、コンチワァ、という軽薄きわまる挨拶が平気で出来るようでなければ、とても駄目だね。”

斜陽/太宰治

高校卒業、そして大学入学にあたり引越ししました。見慣れぬ土地と段ボールの山に囲まれながらの生活はなんとも心細く、近頃は夜な夜な目に涙を溜めながら故郷を思う日々を過ごしておりました。

「斜陽」は高校生の頃から電子辞書でちまちま読み進めており、半年程かけて読み終えました。

〈あらすじ〉
戦後間もなく没落貴族となった主人公は母と東京から伊豆の山荘へ引越すことになった。本物の貴族であった母と死別し、主人公と弟はそれぞれ心の拠り所となる先の見えない恋に溺れていく。


全体的に哀愁漂っていて、退廃的な印象をダイレクトに受けた作品でした。

個人的には、M.C(マイ、チェホフ)の字面が何故か頭から離れなくて、かず子の手紙を読む度に期待してました🌝🌝

一瞬序盤の文章を読んで母への愛情の深さに親子愛以上の何かを感じましたが、気の所為かも知れません。

人間味のある、きれいなお母さんだと思いました。

個人的には、

“これから東京で生活して行くにはだね、コンチワァ、という軽薄きわまる挨拶が平気で出来るようでなければ、とても駄目だね。”

この一文が刺さりました。

斜陽は、戦後すぐの東京が主な舞台となっていて、貴族であった主人公一家は没落貴族と笑われる立場にありました。

庶民になりたいがしかし染み付いた貴族の血には抗えない。半端な存在となった弟の葛藤を思うとやるせない思いでいっぱいです。

一方、かず子はコンニチワァが言える人間だったのかなと推測しました。いや、言えなければ彼女はこの先生きていけないと腹を決めたともいえると私は思ってます。

とにかく、弟の手紙は彼の葛藤を綴る1文1文が凝縮液のように濃くて濃くて、読む度がっつり食らったので、読む方いましたら覚悟して読んでください

今回、久しぶりの投稿となりました。私大学に無事入学致しまして、現在慌ただしい大学生活を送っております。高校生の方、なんでも聞いてください笑。


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