マーケティングの本質
前回に引き続き、刀CEO森岡毅さんの著書についてわかりやすくまとめたいと思います。
マーケティングとは
この本の中では、「売れる仕組みをつくること」と定義されています。ただ先日、刀でマーケターをされている方とお話ししたのですが、刀では「売れる必然をつくること」と定義しているようです。必ず勝たせる!という強い思いが伝わってきますね。
売れる必然をつくる3要素
では、どうやって売れる必然をつくればよいのか。その要素は大きく3つあると言います。
認知
配荷
プレファレンス(好意)
「売上=市場×認知×配荷×プレファレンス×客単価」という公式があり、どの部分(ビジネスドライバー)をいじって売上向上を狙うかがマーケターの腕の見せ所というわけです。
認知とは
認知(Awareness)とは「消費者が自社ブランドを知っている割合」と定義されます。みなさんにも好きなブランドがありますよね。高級品なら「プラダ」、「グッチ」、飲料水なら「いろはす」、「Volvic」、「evian」など。
認知は2種類の方法で測定できます。「Aided Awareness」と「Unaided Awareness」です。さっぱりわかりませんね(笑)
「Aided Awareness」は消費者に「マクドナルドを知っていますか?」と尋ねて測定します。ブランド名や商品名などを提示して、知っているかどうかを尋ねる調査方法です。一方、「ファストフード業界で知っているブランドを教えてください」と尋ねる方法を「Unaided Awareness」といいます。直接的に認知を把握するのが「Aided Awareness」、間接的に認知を把握するのが「Unaided Awareness」と言えるでしょう。
配荷とは
配荷とは「自社ブランドがどれだけ多くの店頭で扱われているのかを示す割合」です。せっかく良い商品を作っても、消費者に届かなければ売れませんね。消費者がどのくらい手に入れやすいかという「手に入れやすさ」の指標とご理解ください。
例えば、新しい本を出す場合では、「全国どの程度の書店に置いてもらえるのか」、「書店内での販売スペースの大きさ」等が当てはまります。また、一般的には表紙を上にしてよく見えるように本を並べる「平積み」という方法が良いとされています。棚に置いてある「棚差し」に比べ表紙や帯を目立たせることができるためです。梅田の紀伊國屋書店で、入り口近くにドーンと平積みしてもらうと最高!というイメージでしょうか。(関西人にしか伝わらなくてすいません)
一方、WEBビジネスの世界では、「Amazonでの掲載順位」や「掲載の大きさ」等が当てはまるでしょう。Amazonで欲しい商品を検索した時に、1位の商品と150位の商品だと、消費者が購入する可能性は圧倒的に違います。まず、150位までスクロールしないですよね(笑)
プレファレンス(好意)とは
プレファレンスとは「消費者の自社ブランドに対する相対的な好意度」と定義されます。実は、このプレファレンスこそが一番重要だと森岡さんは言います。刀のマーケターの方は「プレファレンスには無限の可能性がある」と表現されていました。
例えば、東京ディズニーランドを思い浮かべてください。日本人で「TDLは嫌いだ!」という人が何割いるでしょう。僕は少数派だと思います。
一方、マクドナルドではどうなるでしょうか。健康志向の方もいらっしゃることを考えると、TDLに比べてプレファレンスが少し落ちそうですね。(マクドナルドを貶める意図はありません。僕の昨日の昼食はマクドナルドだったくらい好きです。)
もし好きな人がいたら、その人のプレファレンスは100ですね(笑)
ブランドの成長をロジックで考える
ここでは、刀のマーケターの方から直接聞いた貴重な話も踏まえて書かせていただきます。ブランドの成長を考える上で大切な考え方は「Trial Barrier」と「Trial Motivator」です。水が高いところから低いところへ流れることが必然であるように、売れる必然をわかりやすく理解するために、川の流れに例えてみます。
「Trial Barrier」とは、「まるで流れの悪い川を治すように、消費者が商品を買うまでの流れの阻害要因を見つけて改善し、またその流れの水量を意図的に操作することである。」と表現されます。治水工事にあたり、認知や配荷の向上を図る、ブランドの「量的成長」と言えるでしょう。
一方、「Trial Motivator」は「その商品を選択せざるを得ない相対的な価値を、消費者の認識に創ることである。」と表現されます。川の傾斜を変える工事であり、プレファレンスの向上を図る、ブランドの「質的向上」と言えます。
プレファレンスをつくる3要素
マーケターが最も注力すべきプレファレンスをつくる要素について解説します。大事な公式は「商品=製品+プレファレンス」です。
製品パフォーマンス
価格
ブランド・エクイティー
製品パフォーマンス
「消費者価値につながる製品機能」のことです。機能性が素晴らしい商品は、この領域でプレファレンスが高くなるでしょう。プレファレンスへの寄与度については、製品の機能性が重視されるカテゴリか、リピートビジネスか、その製品が属するカテゴリによります。
外食に行ったときの「味」が製品パフォーマンスと言えそうです。「美味しかった!」と思えるかどうかが、リピートするかどうかの1つの基準になりますよね。
価格
「価格を最終的に決めるのは消費者である」と言われています。商品の売れ行きをみれば、値付けが適切であったかわかりますね。
一般論として、価格とプレファレンスは反比例します。「1杯3,000円のラーメン」を見たと仮定すれば、イメージがわくと思います。
ただ、安売りは麻薬のようなもので、利益が出にくく値引きをし続けなければ売れない構造になってしまう可能性があるので、中長期的な成長には「プレミアム・プライシング」が重要であると言われています。「VIP戦略」もここに含まれそうです。
ブランド・エクイティー
「消費者の頭の中にあるブランドに対するイメージ」のことです。「消費者に選ばれる強い理由になっているもの」とも言い換えられます。プレファレンスを支配する最重要な要素です。
例えば、フェラーリにはどのようなイメージがあるでしょうか。「超高級、早い、かっこいい、赤い車体、馬のエンブレム、有名人が乗っている」などなど。では、「吉野家」、「いろはす」、「あなたの好きなブランド」にはどのようなイメージがあるでしょう。マーケターは、これらのイメージを意図的に作っているのです。
さいごに
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。いかがだったでしょうか。次の記事では、これらをもとにして「どのようにマーケティングを組み立てていくのか」をテーマにしますのでお楽しみに。
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