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私のヒロインだったよ
先日、三宅香帆さんの著書 『「好き」を言語化する技術』を読みました。
推しを自分の言葉で語ることがいかに大切かが分かりやすく書かれており、「推し」がいる私にはもう共感しまくりで、楽しく読むことができました。
自分の推しへの想いに、他人の感情は全く関係ない。
そして、「好き」は儚く、簡単に揺らぐものである。
その言葉に、私はドキリとしました。
私にとって胸が痛くなるほど、その通りだと思ったから。
こちらの投稿にも書いた通り、私は今の推しくんに出会う前、全く別の作品のキャラクターを推していました。
アニメ作品Aに登場する、BくんとCちゃんのカップリング。
私はどちらかと言うとBくんよりも Cちゃんの方に思い入れがありました。
あまり女の子キャラを好きにならない私ですが、Cちゃんのことだけは本当に本当に大好きでした。
しかし私の溢れんばかりの彼女への「好き」は、他人からの言葉で簡単に揺らいでしまった。
自分と同じCちゃんファンの古参の方々から、私へと向けられた心無い言葉の刃によって。
傷ついた私は振り払うように、大好きだったはずのCちゃんの存在を自分から切り離した。Cちゃんのことを考えるのがとにかく苦しくて、絵もグッズも全て捨てて手放した。
それが全くもって自分の本心では無いのは分かっていました。
分かっていたからこそ、涙が止まらなかった。
でも、当時の私はそうすることしかできませんでした。
今 私には大好きな推しくんがいて幸せな日々を送っています。
傷ついた日々から時間が経ち、心の傷が癒えた今。
他人を一切介入させず ただ1人で、あの時の自分の気持ちと改めて向き合ってみようかな。
そんなふうに思えたのです。
***
ちょっとだけ。
元推し、Cちゃんのお話。
Cちゃんは心優しい女の子。Bくんの幼なじみです。
ちょっとおちゃめなところもあるけど、そこも含めてとっても可愛らしいキャラクターです。
私はアニメの序盤から「ああ、この子が最終回でBくんとくっつくんだな」と思って観ていました。
しかし まさかのラスト、Bくんは全く関係ない女の子キャラとくっついてしまいました。
私はびっくり仰天。えええ?あんなに仲の良かったCちゃんは?BくんはまるでCちゃんのことなど忘れてしまったかのような口ぶりでした。
私はアニメを観てる最中はCちゃんに別にそこまで肩入れしていなかったのですが、予想外の展開だったためただただ驚きを隠せませんでした。
アニメ完走後に、なんとなく描いた1枚の絵。
もう捨ててしまいましたが、BくんとCちゃんが仲良くデートしている絵を、私は無意識に描いていました。
それを見て、私はなんだか自分が救われた気がしたんです。
ああ、私が見たかったのはこんな2人だったんだって。
それから私は、本編では叶わなかった幸せそうなCちゃんの姿をたくさん描くようになったんだっけな。
***
ひたむきにBくんを想い続けていたCちゃん。
健気で優しい彼女が大好きでした。
ただ、あの頃の私には戻れない。
彼女の顔を見る度に、どうしたってあの人たちの顔がチラつくのが、あまりに悔しい。
あの人たちに出会うまでは確かに私の中にあった、Cちゃんへのただ純粋な「好き」の気持ち。それを守りきれなかった私が悔しい。
だけどいつだって、変わりゆくのは自分と他人で、「推し」自体は何も変わっていないのだ。
他人がどんな言葉で私を傷つけたって、Cちゃんは、いつだって可憐なヒロインのままなのだから。
こうして時間が経って、改めて自分一人で向き合って、彼女のどんなところが好きだったのかを思い出すことが出来ました。
そして、人生の全てが彼女だった時の自分と、やっときちんとお別れができたと思います。
あの頃のような想いの強さで彼女を推すことはもうできないし、今後 彼女の絵を描くこともきっとない。
でも、彼女への想いは 今も心の奥底でささやかに灯り続けていると思います。
そして、簡単に揺らぐ儚い「好き」の気持ちを守るため、
私はこれからも自分だけの言葉を紡ぎたい。
どうか私の紡ぐ言葉が、
いつかの私の希望になりますように。
そう願っています。