アウトプットの効果
外国語通信Part5
前回は、英語のシャワーをたくさん浴びせる大量のインプットの大切さをお伝えしました。今回は提案授業をもとに、アウトプットの大切さについて見ていきたいと思います。
①インプット活動とアウトプット活動のちがい
「聞くこと」「読むこと」はインプットの活動、「話すこと」「書くこと」がアウトプットの活動になります。今回の提案授業では、キーワードゲームがインプット、カードコレクティングゲームがアウトプットの活動にあたります。
キーワードゲームは、1つキーワードを決め、教師が言った単語を繰り返し言い、キーワードが言われたら、何も言わず手をたたきます。これは、言葉を発してはいますが、「教師が発した言葉を聞く」、「自分や周りの友達が発した言葉を聞く」という「聞くこと」に重きを置いたインプットの活動になります。また、児童や教師の「自分の気持ちや思いの伝え合い」はないため、「話すこと」「言語活動」にはなりません。
一方、カードコレクティングゲームは、ドンジャラや麻雀をアレンジしたもので、揃え方でポイントが変わります。ほしいカードは相手とのやりとりをして集めていきます。学習した言葉の中から、自らほしい曜日を絞りだして相手と「話すこと」をします。ここで初めて、インプットした言葉をアウトプットしています。
②アウトプットの効果と指導方法
第二言語習得において、スウェインが「アウトプット仮説」を提唱しています。「アウトプット仮説」とは、「第二言語習得においてはインプットだけでは不十分であり、「話す」「書く」といったアウトプットも必要であること」を唱えたものです。アウトプットが果たす役割として、以下の3つの機能が挙げられています。
①気づき機能:伝えたいことと伝えられることのギャップに気づく
②仮説検証機能:言葉をアウトプットする際に、自分なりの仮説を試している
③メタ言語的機能:アウトプットすることで、意識的に言語について考えるきっかけになる
今回のカードコレクティングゲームでは、先生の言葉をリピートしてアウトプットするのではなく、自分の中に身についた言葉を初めて自らアウトプットする場面となります。そのため、そこで初めて「木曜日ってなんて言うんだっけ?」と、言えない言葉に気づきます(気づき機能)。子どもたちは活動を進めようと、日本語でやり取りする子、友達や先生に聞いて思い出す子(仮説検証機能)がでてきますが、そこで教師は一度活動を止め、中間指導をします。活動において困ったことや分からなかったことを引き出し、子どもと解決していく。この時、子どもが必要感をもって言葉のインプットをすることができます。そして、自信がついた状態で2回目のアウトプットをします。そうすると、1回目よりも英語でスムーズにやりとりすることができるようになっています。最後の振り返りでは、「曜日にはdayという言葉(音、文字)がつく」と教えずとも書いています。(メタ言語的機能)
このように、インプットだけでは補いきれないところも、アウトプットをすることで気づくことや身につく言葉があるということが分かります。つまり、スウェインが唱えるように大量のインプットだけではなく、アウトプットすることも言語を獲得していくには必要不可欠です。だからこそ、授業において言語活動(アウトプット)が重要視されているのだと思います。
提案授業の概要が分かりづらかったと思います。すみません。