ネコ失格
恥の多い猫生を送ってきました。
幼い頃は、好奇心にまかせてあちこちの家の庭に忍び込み、ひなたぼっこを楽しんでいましたが、その度に人間に見つかっては追い払われました。ひとたび逃げた後も、振り返れば彼らは笑っている。なんとも居心地が悪いものです。自分が軽々と飛び越えた塀の向こうで、あんなに笑われるとは思いもしませんでした。
ある日、満月の夜に屋根の上から気取って街を見下ろしていた時、私は大きな声で鳴きました。仲間たちに自分の存在を知らしめようとしたのです。しかし、その声があまりに甲高く、夜の静寂を破ったせいで、あちこちの家の窓が開き、人間たちが何事かと顔を覗かせました。私は慌てて逃げ出し、静まり返った夜の中に身を隠しました。あの時の自分の愚かさを思い出すと、今でも耳が熱くなるのです。
恥の多い猫生を送る猫として、誇りというものは、なかなか持ち続けるのが難しい。小さなミスや勘違いが積み重なって、いつしかそれが私の猫生そのものになってしまったように感じるのです。
人間というものが、どうにも理解できません。彼らは私たち猫のように自然体で生きることができないようです。私たちは、ただその瞬間を生き、満足すれば寝転び、腹が減れば食べ物を探す。それがすべてです。なのに、人間たちはどうしてあんなにも、自分を誇示し、他者と競い合うことに固執しているのでしょうか?
私は、そんな人間たちと距離を置くようにしてきました。彼らの社会に関わることで、さらに恥をかくことになると知っていたからです。幼い頃の過ちから学んだ私は、次第に街の片隅でひっそりと生きることにしました。時折、人間の足音が遠くから聞こえてくるたびに、私はそっと物陰に隠れ、彼らの姿が消えるのを待ちました。
しかし、そんな私にも、どうしても避けられない恥の瞬間があります。ある晩、ふとした気まぐれで、柔らかいクッションを探していたときのことです。どうやら、あの大きな家の窓辺に置かれた、ふかふかのクッションが最高だと気づいたのです。窓が少し開いていて、そこからすっと忍び込むことに成功しました。外の世界では体験できないほどの柔らかさで、私は思わずその場に寝転びました。至福のひと時、眠気が私を包み込み、完璧な昼寝が始まるかと思ったその瞬間です。突如、背後で扉が開き、家の中の人間が入ってきたのです!焦った私は、急いで跳ね起きましたが、なんと!爪がクッションに絡まって抜けません。私は何とか逃げようとしましたが、必死に引っ張れば引っ張るほど、爪はますます絡まり、身動きが取れなくなってしまいました。後ろでは人間たちが、まるで珍しいものでも見たかのように「かわいい!」と騒ぎ、カメラまで取り出して、こちらに向けています。
その瞬間、私は顔が熱くなるのを感じました。いくら猫とはいえ、こんなみっともない姿を撮られるなんて、耐えられるはずがありません。けれども、爪はまだクッションに絡まったまま。人間たちは笑いながらカメラのシャッターを押し続け、私は何も言えず、ただその場で情けなくも、もがき続けるしかありませんでした。その後、なんとか爪を外して逃げ出すことができましたが、家の窓から見送る人間の笑顔が頭から離れません。それ以来、あの家の近くを通るたびに、あの光景が脳裏に浮かび、恥ずかしさで尻尾が自然と下がってしまいます。寝床一つ探すことすら、なんだか気が引けるようになってしまったのです。
仲間の猫たちは、そんな私を気にも留めず、自由気ままに生きています。彼らは何も恥じることなく、無邪気に追いかけっこをしたり、高い塀に登ったりしています。それを見ていると、私もあの頃のように戻りたいと思うことがあります。しかし、もう無理です。私はあまりに多くの恥を背負いすぎました。それは、背中に重くのしかかるような感覚で、身動きが取れなくなってしまったのです。
人間失格ならぬ、猫失格――。私は、もう猫らしく生きることができないのかもしれません。恥に囚われ、自分の本来の姿を忘れてしまった。そんな自分が、これから先どのように生きていけばいいのか、まったく見当もつきません。
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