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すべてのビジネスマンへ〜あきない世傳 金と銀シリーズ〜

みをつくし料理帖』の著者・高田郁さんが書いた呉服屋を舞台にした『あきない世傳 金と銀』。今年の8月に発売された13巻で完結になります。
働くすべての方に薦めたい本です!

内容

享保期に学者の子として生まれた・幸。父・兄を相次いで亡くし9歳で大坂の呉服屋「五鈴屋」に女中奉公に出されます。様々な巡り合わせの末、店主になり店を切り盛りすることに。念願の江戸への出店や仲間の裏切り……様々なことを乗り越えながら、「買うての幸い、売っての幸せ」を掲げて商いに勤しむ幸の物語です。

三方よし

「三方よし」とは近江商人の心得で、
売り手よし。
買い手よし。
世間よし。
という意味です。これを読んだとき、すごく納得しました。どれが欠けても長続きしない。現代の商売は、安くて品質が良いという買い手重視だなと思いました。

着物だったら、蚕や木綿など原料を加工して布にして最終的に着物に仕立て上がる。そこにはたくさんの人が関わっていて、家族や生活がある。そう考えると安くて品質も良いってどこかが「良くない」のだろうな。

今でこそフェアトレードって言われているけど江戸時代からあんまり変わってないというか、世界規模で搾取しているようにも思う。

着る楽しみ

着るって寒さから身を守る以外にもTPOや自己表現だったりと、機能だけではない部分もある。毎朝何着たら良いかと苦しい部分はあるけど、お気に入りの服を着て出かける楽しさは代え難いよね。

呉服屋と聞くと当時のお金持ちがバンバン買っていたイメージだけど、綿や麻の洗濯にきを使わなくて丈夫な物もあって庶民の生活が伺えるのも面白いです。

「この反物買うために頑張ろう!」と女性が意気込むシーンがあって、これって今とさほど変わらないのでは!?と思いました。着ているものって、やっぱり貧富の差が出るからね。

お金をかけなくても装いで楽しむ工夫って、人を楽しくさせてくれる。たしかに、手が届かないものもあるけど。

絶えずチャレンジ

幸はいろいろな商品を思いついたり、周りからオファーがあったりと常に新しいビジネスを模索します。思いついた商品も催しもすべて誰かに伝えなきゃいけないけど、その宣伝方法が。カッコ良すぎて痺れます。

ただチラシ配るとか、広告出すなんてことはしない。アイディアを練って練って練りまくる!奉公人も考えるし、形にする。いろんなバックボーンがある人がいるから、視野が広くなる。トップダウンではないから良い意見が出るのだろうな。

仕事って現状に満足したらその時点でもう終わりなのかもなって思います。絶えずチャレンジって厳しいから、楽しんでできること・好きなことじゃないと続かないのかも。

まとめ

特別巻が2冊発売予定ですが一応13巻で終了です。正直、もっと読みたいのが本音ですが一番良いところで終わったように思います。これも商いはずっと続くということを表現しているように感じます。

別のnoteで勝手にキャスティングを書きますが、実写化してほしいです!幸は松坂屋の十代目店主・宇多がモデルとのことなんで、大河で一年くらいかけて放送してほしいな。

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