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コアラのデスマーチ
ロッテさんなんてことしてれるんだ。
コアラのマーチはみんなの味方じゃないのか。
僕はコアラのマーチでとんでもない窮地に立たされてしまった。
この責任をどうとるつもりなのか ──。
それはある休日のおやつタイムの時。
僕は普段お菓子をあまり食べない。
子どもが食べる時にお裾分けしてもらう程度だ。
家族は勢揃い。
楽しい時間になるはずだった。
その日のおやつは 子どもの認知度90%超え確実のコアラのマーチ。
コアラの絵が描かれたお菓子。
その絵を見ながらキャッキャと楽しめるのもコアラのマーチの魅力だ。
僕も久しぶりのコアラのマーチに少しワクワクしていた。
知っている絵柄はあるかな 昔は盲腸コアラや親子コアラがレアだとされていたっけ。
そんな思い出に浸っていた。
いざ開封。
馴染深いそのフォルム。
君は変わらないね。
おや?
絵柄の下にひらがなで名前が書いてある。
ひらがなをある程度読める長男は読みながら食べている。
自分の名前はあるかなーなんて言いながら。
読めないモノはパパに「なんて読むのー?」と渡してくる。
フフフ。
かわいいやつめ。
しかし そんな幸せは長くは続かない。
僕は完全に油断していた。
長男が読んでと渡してきたコアラを見て戦慄した。
そこには 忘れたいが決して忘れることはできない名前が刻印されていた。
それは元妻の名前だったのだ。
ドキッとした。
これが心臓を鷲掴みされるというやつか。
僕はバツイチ(本邦初公開)であり妻もそのことは知っている。
しかし、妻の前でその名前を呼ぶのは抵抗がある。
たぶん変に意識しているのは僕だけなのだろうが 長男は早く読んでほしそうな視線をなげてよこしている。
僕は逡巡しながらも周囲には悟られないよう平静を装い自然体で名前を読み上げる。
僕の胆力はたいしたもんだ。
もう2度と呼ぶ予定のなかった名前をこんなシチュエーションで呼ばせたロッテに言いしれぬ怒りが湧いた。
バツイチなのも くじ運が悪いのも 勝手に意識しているのも全部僕が悪いのは承知している。
でもあまりにも不意打ちすぎる。
ほのぼのした日常が一瞬にして凍り付く(僕だけ)。
こんなにもヒヤッとしたのはいつぶりか。
はたして妻は気が付いているだろうか。
僕には知るよしもない。
そしてその元妻コアラは長男へ返却した。
とても食べる気にはなれない。
捨てるわけにも妻にわたすわけにもいかず長男に噛み砕いてもらう他なかった。
南無。
コアラのマーチで調べてみると40周年記念で期間限定販売なのだそう。
100種類の名前が書かれているらしい。
その中から偶然にも引き当てる僕。
この運気上昇中?に宝くじでも買うか。
それにしてもこの偶然はなにか虫の知らせか?
しばらくは気を引き締めて行動しよう。
隕石にぶつかって死ぬかも。
備えあれば憂いなし。
この記事でバツイチの人に 40周年コアラのマーチはデスマーチになる危険があると知らせたかった。
僕の二の舞いにならないことを祈る。
そういえば元妻コアラの絵柄をまったく覚えていない。
人はパニックになると視野狭窄に陥るというのは本当なんだな。
こんなしょーもないことで知りたくなかったけどね。
ではまた。