故意
恋と恋は出会って、愛になる。
そしてその愛は惜しいほどに一瞬で、醜いほどに美しい。
温かいオレンジ色に包まれた教室に2人。
あと5cm近づけば唇が触れる距離の僕と君。
体が熱い。溶けてしまいそうだった。
僕は君に伝えなければならないことがある。
「好きだ」 「愛してる」
どう伝えようか。練習しておけば良かった、なんて意味もない後悔をした。
だって、僕と君の心はもうすぐ燃えてしまうから。
だから早く伝えなきゃ。
「僕は死んでもいいよ。」
何をとち狂ったのか、僕はそう言っていた。
君は笑っていた。
僕らは体を動かす力すらなかった。
それでも僕は、体が火照るのを感じた。
あぁ、前が見えにくいな。
君の顔に見惚れた。綺麗だな。
そう思ったとき、君の顔は崩れた。
いや、ぼくの目が壊れたのだろうか。
燃え尽きてしまったら、どうなるのだろう。
そう思いながら君の心配をしていた。
なにも見えないけれど、火の音の中に君の声が微かに聞こえた。
「俺も君と同じ気持ちだよ」
やがて教室は炎に包まれ、僕らの愛は火と一緒に飽和した。
僕と君の、一瞬の愛。
僕と君の、世界一美しい物語。