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【医師エッセイ】子どもと緑地
私が子どもの頃は、野山を駆け巡り、緑に触れ親しみながら時を過ごした記憶があります。ですが、大人になると、毎日のように野山を駆け巡るだけの時間がなく、緑との距離も自然と出来てしまいました。住んでいる家の周りには、街路樹はあっても、山の中に家があるわけではないので、自然は限られています。私と緑の距離はあいたままになるのだろうかと思っていました。ですが、それは勘違いだということを知りました。
私は医師をしているのですが、実は薬のほとんどが森林から作られています。医師ですから、薬はとても近い存在です。薬がなくなってしまうと、医師としては大きな致命傷です。つまり、昨今言われ続けている環境破壊や森林減少のニュースは、我々医師にとっても重大な問題だということです。
子どもの頃は遊び場としての森林でしたが、医師になった今では絶対に必要なものとしての森林の存在があります。森林は老若男女問わず、全ての人にとって必要不可欠なもので大切です。私は薬と森林の関係を知れば知るほど、森林の大切さを理解しました。
人は森林とともに生きています。森林伐採をするだけではなく、もっと人は森林を支えるべきではないでしょうか。森林がなくならないように、どんなに小さなことであっても、私たちにできることから、やってみませんか?