眠れぬ夜は。。。


今日も1日お疲れ様でした。
お仕事だった人も、勉強していた人も、今日を終わらせてゆっくり休みましょう。

ふぅ〜。。。
大きく溜息をつくように、大きく今日を吐き出して。
息を吐き切ったら、ちゃんと又大きな呼吸が戻って来たね。
すぅ〜。。。はぁ〜。。。

ゆっくり呼吸をしてみよう。
あれ?今日1日の中で、自分の呼吸を意識した時間なんかあったかな?
あれ?今日1日の中で、自分の指を意識した時間なんかあったかな。

あれ?今日1日の中で、自分をいたわる時間なんかあったかな。。。

なんでこんなに自分が居なくなってしまうんだろ。
なんでいつも自分は後回しなんだろ。

なんだか、悲しくなってしまう。
今日1日の終わりに悲しいなんて、最悪の1日じゃないか。


もう一度、呼吸をしてごらん。

はぁ。。。溜息ばっかり。
うんざりする。

さぁ、寝よう。
お布団に入って、夢の中に入り込もうよ。

重苦しい気持ちのまま入る布団。
でもとても疲れていて直ぐに目の前に暗闇が広がった。


夢の中へようこそ。
あなたの目の前に小さな塊が現れます。

それは、小さくて軽そうで
柔らかそうで
手にとってみたくなり、
あなたはゆっくり手を伸ばして持ち上げました。

ふんわりとした肌触りが心地よくて、優しく包んでいます。

とてもふわふわで、
タオルみたい。
ぬいぐるみかなぁ。
なんだろうコレは。
ふわふわしてまん丸で、可愛い。


あなたが優しくにぎにぎしてたら、「きゅうん」と小さな声が聞こえました。

え?生き物?
生きてるようには見えないけれど。

「生き物とちょっと違う。でもココに居るんだ、ボク」
と、小さな声で話しかけて来ます。

「アナタの手のひらは暖かくて優しいね」
そう言ってまん丸ふわふわなモノはアナタに話しかけてきました。

そうなの?自分の手は暖かいの?優しいのかなぁ。分からないけど。
とアナタは自分の手のひらをゆっくり広げて空に透かしてみました。

昔、太陽に向けて血の色を感じた事あったなぁ。
あの頃は、今より小さな手のひらだったっけ。

「きゅうん」ふわふわまん丸が手の中で動いています。

ふわふわの肌触り。気持ちイイなぁ。柔らかいなぁ。

アナタは少し夢中になってふわふわまん丸を軽く握ります。

「うふふ。くすぐったい。アナタの手の中は楽しいね」

そうなの?
自分の手の中は、楽しいの?
ただ触り心地を感じていただけなんだけどな。

あぁ、そういえば。
カエルを触った時、ひよこを触った時、髪の毛を触った時、
自分の手のひらは、沢山感じ取ってた。
冷たい。柔らかい。スベスベ。
触り心地は、楽しかったな。
カエルはちょっと気持ち悪かったけど。

思い出してきたみたいで良かった。そうだね。
自分の手で楽しさを感じてたね。

少し嬉しくなってきたので、今度はふわふわまん丸を撫でてみましょう。

 「きゅうん」
ふわふわまん丸が、とても可愛い声で鳴きます。
「アナタの手のひらで撫でられるのはとても心地よいね。嬉しいや。」

アナタはもう一度思い出します。

そうだね、ゆっくり撫でるって気持ち良いな。
触り心地がとても良いもの。
嬉しいって言われて、自分も嬉しいな。

ふわふわまん丸が可愛いな。
ふわふわまん丸は一体何者なんだろ。

そんな事をぼんやりと考えているうちにとっても心地が良くなって、アナタはすっかり夢の中の奥深くへ。。。


「。。。きゅうん。。」
遠くでふわふわまん丸の鳴き声が小さく聴こえます。

「ボクは、キミのハートだよ。いつも一緒に居るからね。おやすみなさい。大好きだよ。」

とても心地よくて、久しぶりに安心したけど、眠ってしまってふわふわまん丸の言葉を思い出せない。
でも大丈夫。
あなたはちゃんと受け取ったから。

おやすみなさい。
良い夢を。

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