台湾はベジタリアンの割合が世界で2番目に多い
最近、知り合いの台湾人に言われたこと。
「日本に行ったら食べられるものが少ない!ベジタリアン対応のメニューが少ない!」
考えてみると、確かに日本ではベジタリアン向けのメニューは少ないように感じる。そもそも和食文化の中に魚や肉といった動物性の食べ物は必要不可欠な存在である。
一見ベジタリアンでも食べられそうな日本料理でも実は出汁に魚を使っているということが多い。
知り合いは日本で冷奴を注文したら、豆腐にだし醤油がかかった冷奴が出てきたので食べることができなかったそう。
台湾では国民の10〜15%がベジタリアンであり、インドに続いて世界で二番目に多い。そのため台湾の街では至る所にベジタリアン専門店が見られる。
台湾に来たばかりの頃、よく分からずにベジタリアン専門店に入って食事をした思い出がある。
台湾では、普通のレストランでもベジタリアン専用のメニューもあるところが多い。
台湾のベジタリアンの分類
日本のベジタリアン協会によると、「ベジタリアン」は英語由来の言葉で、菜食主義といい、植物性の食品+卵や乳製品を食べる人のことを指している。
また、その中でも植物性食品のみ摂取する人を「ビーガン」といい、卵や乳製品、蜂蜜や動物由来のゼラチンなどを食べない、徹底的な菜食主義の人を指している。
台湾ではベジタリアンとは言わずに「素食」と言う。
そして「素食」にもいろいろな分類がある。
①全素:乳製品、卵、五葷全て❌
→植物性食品のみ。ビーガンに近い感じ
②蛋素:植物性食品+卵はOK
③奶素:植物性食品+乳製品はOK
④奶蛋素:植物性食品+卵と乳製品はOK
⑤植物五辛素:植物性食品+五葷はOK
*五葷【ニンニク、ニラ、ネギ、ラッキョウ、玉ねぎなど匂いが強い野菜の総称】
台湾の素食対応食品には①〜⑤のどの素食者が食べられるのかが記載されていることが多い。
以前台湾の学校で働いていた時、学校の食堂でも素食用のバイキングを見かけた。
さらに学校行事等で弁当を注文するときは必ず「素食」か「葷食(動物性食品OK)」かを聞かれる。
その時に、素食の学生も一定数いたことに驚いた記憶がある。
台湾人の素食が多い原因
これは知り合いの台湾人に聞いたことなので、100%断言ができないが、素食になる人の原因で見られるものは
・宗教によるもの
・健康志向によるもの
・家庭(親)、恋人の影響
が多いように感じる。
日本でもごく僅かに、環境保護や動物愛護思想を持つ人が徹底的なビーガン生活をしているという話を聞くが、台湾はどちらかというと健康のため、自分のため、という人が多い印象。
素食者が葷食者に素食を強要することも少ないと思う。私も素食の知り合いがいるが、食スタイルについて特に何か言われたことはない。
知り合いによると、付き合ったパートナーが素食だったら相手に合わせるように自分も素食のものを食べるようになるが、肉、魚が食べたくなる時も普通にあるので、葷食のメニューを食べることもあるそうだ。
もう1人の知り合いは両親は宗教的な理由で、素食だったから、小さい頃から素食料理を食べていたが、その人自身は素食ではないので外では普通に葷食料理を食べるという。
親と子の食スタイルが違う場合もあることに驚いた。
素食文化が浸透している台湾ならではの光景かもしれない。さらに台湾では外食が当たり前なので、素食によって引き起こされる負担がないこともあるだろう。
日本のようにベジタリアンの割合が少なく、自炊が中心の食生活だと、かなり大変。
日本で生活をする際にパートナーが素食の人だと、自炊をする時は素食に合わせないといけないし、仮に素食と葷食別々に料理を作るとしても、労力が必要になることは確かである。日本で素食者と付き合うにはかなりの負担になるはず。
日本の飲食店では素食のメニューはなく、日本では素食に対する未だ理解が進んでいないようにも思う。そのような人に遭遇する機会も少ないので当然のことかもしれない。
逆に台湾は食べ物のアレルギーに対する対応が日本ほどではないような印象。
たまに日本のレストランで特定のアレルギー食品を使っていないメニューを見かけるが、台湾ではあまり見ない。
コンタミの概念は台湾にはないと言っても過言ではないくらい。
私はメロンの軽いアレルギーがあるので、かき氷屋ではメロンを抜いてもらうようにしている。ただ、メロンを切った包丁とまな板で違うフルーツを切るし、メロンに触れた手でかき氷を盛り付けられる。
たとえ運ばれてきた料理の中に自分のアレルギー食品がなかったとしても、作る過程で混入してしまう可能性は日本よりも高いように感じる。
重いアレルギーがある人が台湾で生活するのはかなり大変かもしれない。
しかも自分の知り合いの台湾人の中でアレルギーを持っている人がいない(私の交友関係に問題があるかもしれないが)
日本語学校の学生たちにアレルギーの質問をしてみたら、エビとかの甲殻類、マンゴーのアレルギーは聞いたことあるけど他の食べ物は聞いたことないかも…という回答。
個人的な見解なので、もしかしたら実際は結構いるのかもしれない。
ただこれだけ言えるのは、日本人に多い花粉アレルギーは台湾ではほぼいない。台湾ではスギヒノキといった花粉がないので、鼻も目も耳も喉もなんともない。
毎年花粉に悩まされることがなくなったのは、台湾に来て良かったことの一つでもある。
花粉持ちの人は春に台湾に来るのをおすすめする。笑
アレルギーの話に偏ってしまったが、
私が今まで出会ってきた台湾人の中でアレルギー持ちの人よりも圧倒的に素食の人の方が多かった。
食文化の中に当たり前に素食と葷食が共存しているのも台湾ならではと感じる。
そのため素食の台湾の友人が日本に行って初めて日本の食文化に驚いたのもなんとなく理解できる。
確かに日本にも素食と同じような精進料理はあるものの、生活の中で精進料理を食べることはないし、外で見かけることもほとんどないような気がする。私自身精進料理を食べた記憶がないので、身近な存在とは言えないことは確かである。
素食の知り合いを通じて、日台の食生活のちがいについてちゃんと知るいい機会になった。
台湾に旅行に来る人は素食料理を探して見て欲しい。
もちろん誰でも食べられるし、バリエーションが豊富なので面白いと感じるはず…