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朝倉彫塑館「ワンダフル猫ライフ」〜インターメディアテクの非日常な空間へ
台東区にある朝倉彫塑館で開催中の「ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」を見に行ってきました。
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彫塑家朝倉文夫の住居兼アトリエだった建物が、朝倉彫塑館として一般公開されています。日暮里駅から徒歩5分ほどのところにあります。
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朝倉文夫(1883~1964)で有名な作品といえば、《墓守》や早稲田大学の《大隈重信像》でしょうか。一方で朝倉文夫は大変な愛猫家でもあったそうで、猫の作品も多く残しています。
東京オリンピックの開催された1964年、朝倉文夫は自身の猫作品を集めた「猫百態展」を企画していました。しかし、その年に残念ながら病気で亡くなり、開催は叶いませんでした。
そして没後60年にあたる今年、朝倉文夫が実現できなかった猫作品を集めた展覧会がようやく開催されました。
ちなみに彫塑(ちょうそ)とは、基本的には粘土で原型を作った後、石膏で型をとり、そこにブロンズなどの金属を流し込み、固まったのち表面を加工して像に仕上げる技法のことです。危険な工程も伴うため、高い技術力と十分な設備が必要だそうです。
大変な愛猫家と書きましたが、一時期は19匹くらいいたそう!
猫まみれですね。
どれも、うちの子達もこんな格好してるしてるー!と思うような、リアルな作品でした。アンモニャイト、何かを齧る様子、リラックスして眠る姿、何かを狙う姿。子猫たちの可愛らしい作品もありました。猫たちに対する深い愛情を感じると同時に、生き物としての猫を見る冷静な眼差しも感じさせる作品でした。百の猫像、見たかったなぁ。
写真は定められた場所では撮ることができましたが、私的使用の範囲内で、とのことでした。
愛猫家の朝倉文夫でしたが、犬も一緒に暮らしていました。
警察犬の「スター」の像もありました。超大型犬のグレートデンだったそう。
実は私も、像ではないですがうちの猫たちの絵を描きたいと思って本を買ったことがありました。ですが自分の絵の下手さに嫌気がさして^^;、ちょっと描いただけでやめてしまいました。
猫たちの像を見ていたら、私もまた描いてみようかなと思ったり(続くか?! 笑)。
《墓守》も見ました。
猫たちの作品も良かったですが、《墓守》も感動しました。
朝倉彫塑館、お庭も素晴らしいのです。
実際にそうなのかは分かりませんが、水量が豊富に見え、鯉たちも悠々と泳いでいました。
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玄関前にあった作品、《雲》。
朝倉文夫が東京藝術大学を出たすぐ後の作品だそう。
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朝倉彫塑館は屋上庭園も見どころの一つですが、残念ながら雨だったため見ることができませんでした。また行ってみようと思います。
空腹でお腹を鳴らしながら鑑賞していたため、ちょっと腹ごしらえ。
近くにある「喫茶ニカイ」というレトロなお店でバターチキンカレーとアイスコーヒーをいただきました。
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こちらのお店、フレンチトーストとクリームソーダが人気だそうですが(インスタでも映えるそう)、フレンチトーストは特に好きと言うわけではなく、ソーダよりもアイスコーヒーの方が好き、ということでカレーとコーヒーを注文しましたが、すごく美味でした。
なぜかBGMが松田聖子さんの「赤いスイートピー」で(レトロ喫茶だから?)、その日1日、「赤いスイートピー🎵」が頭の中をエンドレスでぐるぐるしていたのでした(せっかく忘れたと思ったらまた思い出したりして。しかも赤いスイートピー🎵以外の歌詞は知らないので、そこだけエンドレス笑 誰か止めてー)。
ちょうどお彼岸だったため、谷中霊園や周辺のお寺にお墓参りする人がたくさんいました。
日暮里駅に戻り、東京駅へ向かいました。
前から気になっていた、インターメディアテクへ。
東京駅丸の内口前のKITTEの2階と3階にあります。
日本郵便と東京大学総合研究博物館が協働で運営する施設で、東京大学が所蔵する標本類の展示をメインに、さまざまな企画展も開催されているようです。
場所柄もあるのか、標本を何かのテーマに沿って展示しているというわけではなく、全体的にアートの要素を強く感じました。
日曜日でしたが、日曜とは思えないほど人が少なく、ゆっくり見ることができました。穴場ですね。入場料は無料です。
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こちら、エピオルニスの卵。
とにかく大きい!
エピオルニスとは、アフリカのマダガスカルに生息していたとされる地上性(飛べない)の鳥です。すでに絶滅していますが、いつ絶滅したのか正確な時期はわからないそうです。頭のてっぺんまで3m以上あったそうで、史上最大の鳥とされています。
何を食べていたんだろう。
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エピオルニスの骨格標本。400kgくらいあったと推測されているそう。恐竜みたい。
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立ち姿が格好良かったダチョウ。
頭が枠からはみ出しています。
足を見ると指が2本しかありません。多くの鳥類は4本指ですが、ダチョウは2本指であることで接地面積が小さくなり、力を分散させることなく強い力で地面を蹴り、速く走れるそうです。
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カエルの骨格標本。よく見ると肋骨がありません。
カエルは骨の数が少なく、それにより軽量化できているそうです。また、体の大きさに比べ後ろ足の骨格が大きく(人間で言うところの太腿、脛、足裏がほぼ同じ長さ)、これらの条件によって高い跳躍力を実現しているそう。
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丸の内を背景に泳ぐ魚たち。
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いちばん大きかった骨格標本、ミンククジラ。
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こちらはキリン。
キリンも頭が枠からはみ出しています。
キリンは2本のひづめを持つ偶蹄類の仲間です。偶蹄類は他にもたくさんいて、ウシ、シカ、ブタ、カバ、ラクダなど。ちなみに今では、鯨類も偶蹄類と生物学的に近いことがわかっており、分類上は鯨類も含めた「鯨偶蹄目」とされています。
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キリンの2本指立ちですが、人間でいうところの中指と薬指で爪先立ちしている状態です。そして、人間でいうところのかかとはすごく高い位置にあります。脚を後ろから見ると、半分くらいは足裏が占めている状態です(キリンだけでなく、他の多くの哺乳類も)。この爪先立ちのおかげで脚全体が軽くなり、接地面積も少なくなるので速く走ることができるというわけです。
我々も時々爪先立ちで生活するといい運動になりそうです。
こちらの本、キリンの足のことをはじめ、生き物の体の作りと進化について書かれたとても面白い本でした。
ところどころに彫像があったりして、特に作品名の表示はされていないのですが、こういうのを見るのも面白かったです。
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コキクガシラコウモリの骨格標本。
小さなコウモリなので本当に骨格が繊細で、間近で見ると魚の骨のように細い骨でした。
小さな親指がぴょこっと出ていて鉤爪になっていますが、そのほかの指の骨は長ーく伸びています。実際は、肩から親指まで、そして人差し指から各指の間、後ろ足の足首のところまで飛膜が広がっており、さらに後ろ足と尾の間にも飛膜があるものがほとんどだそうです。この特殊な構造により、哺乳類の中で唯一、完全に飛行することができるのです。
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こちらはモモンガ。
コウモリは「翼手目」ですが、モモンガは「齧歯目」でリスの仲間です。モモンガは木から木へピューっと滑空して移動します。ちなみにムササビも近縁ですが、ムササビの方が大柄です。
手から伸びている細い骨は軟骨だそう。
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これは昭和のはじめ頃にベルギーから贈られた地球儀です。
ニュージーランドとか小さな島は見えますが、ほぼ海しか見えないところから撮影。
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重厚感のある展示棚。
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一瞬海藻かと思いましたが、タビビトノキという植物の葉でした。
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タビビトノキ、シンガポールに行った時に初めて見て、その姿にびっくりした記憶があります。
これはギメ・ブルー。
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の青いターバンに代表されるあの青色は「ウルトラマリン・ブルー」と呼ばれ、ラピスラズリから作られる大変に高価な顔料でした。化学者だったジャン=バティスト・ギメは安価に作れる青色顔料「ギメ・ブルー」を開発し、莫大な富を得たそう。その富は息子のエミール・ギメに引き継がれました。
エミール・ギメは東洋美術を蒐集し、パリにあるギメ東洋美術館にそれらのコレクションが収められています。
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すごく格好良かった猛禽類。
あなたはワシですか?
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長ーい尾羽のオナガドリ。
こんなに尾羽が長いと動きづらいだろうな。。。
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3階にあった展示ケース。
六角柱になっていて、上のところが障子のようになっています。そのおかげで展示品に注ぐ光が柔らかくなっているようです。
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なんの道具だかよくわからなかったもの。
なんとか電機と書いてあったので、電機関連のもの?静電気発生装置?
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イランの古代土器。
紀元前3000年紀末と書かれていました。
鳥の嘴を模したと考えられているそう。
昔も今も、ヒトは動物モチーフを作るんですね。
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会場で気になったのが、無造作に隅っこに置かれていたものたち。
これはハスの実。
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デシケータとテーブル
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ガラス器具。何フラスコって言うんだろう。
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間違えて蹴飛ばされたりしないのかしらとちょっと心配になりました。
この他にも『海の人類史 パイオニアたちの100万年』などの特別展も開催されていました。
じっくり展示を見て、疑問点を調べたりしながら進みましたが、かなり見応えがありました。人も少なく、展示室全体が落ち着いた雰囲気で、ちょっとした非日常を味わえました。おすすめです。
屋上庭園に行くのを忘れてしまったので、また行ってみようと思います。
インターメディアテクがあるKITTEはお店もいろいろあります。
「KONCENT」というお店で購入したKoneko Cup。
ゼリーとかご飯を猫型にできるものです。猫だからつい買っちゃいました。カレーの時にやってみよう。
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丸の内の丸善に(行くつもりはなかったけど)移動し、動物学コーナーで本を眺めていたら目に入った本。
前に『ヒトは家畜化して進化した』という本を読んだのですが、その中に出てきた「人に懐くようになったキツネ」にすごく興味がありました。
この本はまさにその実験の詳細を書いた本だったので、迷わず購入しました。
帰りに東京駅で何かスイーツでも買おうかなと思っていたのですが、バターチキンカレーでしばらくお腹いっぱいだったので(頭の中は赤いスイートピー🎵 誰か止めてー)、私にしては珍しく何を見ても美味しそうに見えず(かえって良かったかも 笑)そのまま帰宅しました。
あ、電車まで時間があったので、東京駅の改札内にあったミュージアムショップ「VINYL」に立ち寄ったら、ヒダカナオトさんというアーティストのなんとも言えない愛嬌のある猫のカードが売っていたので買ってしまいました。
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結局、猫に始まり、猫に終わった1日でした😺
骨のことを調べていたら、こんな博物館があるのを知りました。
日本大学生物資源科学部博物館 骨の博物館
藤沢なのでちょっと遠いけど今度行ってみよう。