読了日記 『なぜ学ぶのか』出口治明①
1 全体の感想
タイトル通り、何故学ぶのかを考えるヒントになる内容。子どもに話したら納得感があるものが多い。学ぶ、ということから派生して進路選択について、5科それぞれの学ぶ意味など、先生サイドが伝える際に非常に参考になる内容となっている。教員からしたら学ぶ意味の指導書という感じ。
2 社会科としてのメモ
知識から考えるきっかけを作るという意味で歴史から学ぶことは多いにあるという姿勢の著者なので、歴史からの引用も多い。
疑う力
ヨーロッパでイノベーションが起きた背景はヨーロッパの人々に疑う力が
あったからとし、具体例として天動説を疑い、地動説を提唱した人々の疑
う力、考える力を例に出した。学ぶ力とは疑う力であるという考え方その
ものと併せて紹介すると説得力がある。
覚えるためにはストーリー
単純な年号暗記はマジで意味ないし、覚えられない。だが、そこに因果関
係やストーリーがあれば絶対忘れないという例えで、百済からの仏教伝来
を例に出した。本を読み終わった段階であえて、本文をみず、私自身が著者の感覚に近づけたか検証する。そもそも朝鮮半島において、百済、高句麗、新羅の3カ国があり、百済は他2つに攻められていた。当時の仏教は建築、学問等あらゆる面で国家の最新技術が包含されたものであり、本来他国に教えるものではない。しかし、攻められてピンチだった百済は日本に助けてもらうためにその条件として、仏教というカードを差し出した。対する日本では、この仏教という新しい文化を受け入れるか否かで割れた。蘇我氏と物部氏の争いである。結果は蘇我氏が勝つのだが、蘇我氏が勝った(支持された)のは仏教を受け入れる→建築などの多くの公共事業が発生する→人々の仕事が生まれ、生活ができる。→蘇我氏を支持する。という背景があったそうだ。近現代でいうところのニューディール政策的な評価がされているのは興味ぶかい。
確かに書いてみるとかなりの精度で覚えられた気がする。自分が授業をしていても因果関係が整理されるされないでは雲泥の差がある。本著を読んで皆さんも検証してほしい
タテ・ヨコ思考
タテ=歴史・これまでの時系列との比較
ヨコ=世界の国々他の地域との諸制度との比較
感情論的に良し悪しを極めるのではなく客観的なこれまでのファクトに基づいて考えようやということを提案している。そこで、具体例となったのが夫婦別姓である。公民でアクティブラーニングやジグソーで使えると思うので参考にしてほしい。北条政子と頼朝の例などを挙げてタテの検討をし、非常に短い歴史での保守的ムーブが起きていることを指摘し、世界の先進国で夫婦同姓を法で義務付けているのは日本だけであるということを指摘している。つまり、夫婦別姓である必要がないよねという結論には至ってしまうが、意思決定をするプロセスとして非常に参考になる。
続きは疲れたのでまた次回
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