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パンデミック


マロン熱ウイルスは、
科学者が牛乳瓶を覗いて、
百万光年先のビッグバンを観測すると、
無数の円錐型の隕石が地球の表面を覆って、

パンデミックが起きた。


イガイガ咳ウイルスは、
牛乳瓶の底に沈澱した
ホルスタインの吐息を介して、
ムクドリの巣に落下した。
世界各地のクスノキの茂みの中では
ムクドリのたちが興奮して激しく囀り、
生けるマシンガンのようになり、

パンデミックが起きた。

何が不運で、何が幸運なのか、
天気予報では分からないでしょう。
気象予報士が指揮棒を振るう
クラシックコンサートでは、
どこかのフリーアナウンサーが曲中にも関わらず、
実況している。


えー、
今はバイオリン、フルート、オーボエの
パートになりまぁす。
続きましては、金管楽器たちの三重奏。
トランペット、トロンボーン、ホルンが
鳴らしまぁす。
朝のムクドリの密会に負けず、
淫ら極まりないセクシーな音色でっすね。
皆さん、聞き逃さないでくださぁい。
そして、メインパート、ピアノの独奏でっす。
これが終わるとサビの部分を皆んなで大合奏
となるわけでっす。

ここは間違えても1番目立ちにくいパートでっすが、
ぜひともお間違えないよう、
演奏者の方々、
どうか宜しくお願いいたしまぁす。


新型モウイヤウイルス第9波か。
観客たちは席を立ち、
ホールの外に出て咳をする。
熱が出てきたと救急車を呼んだ
UNO同好会の科学者が、
ホルスタインの白衣を着た救命士に
担架で運ばれていく。
ホルスタイン柄の救急車に乗せられた科学者が
牛乳瓶を覗くと、
ムクドリが騒ぎ出して交尾して、
それをフリーアナウンサーが実況する間に、
隕石が地球を横滑りし、
南極からハイジャンプし、

パンデミックが起きた。


正体不明のウイルスに脅かされた
クラシックコンサートは、
ビッグバンが無数に起きて、
メインパートの最初を間違えたが、
サビは完璧だった。
それに拍手喝采を贈る観客の心の奥底に、
不思議な

 パンデミックが起きた。


こちらも、正体不明ウイルスの仕業か。
円錐型のクスノキの上では、
気象予報士が百万光年先の銀河系の雨を不運だと
嘆き、
牛乳瓶を叩き割って、


パンデミックが起きた。



パンデミックが起きた。



パンデミックが起きた。









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