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夜森蓬
2024年8月3日 21:37
*一番星が光り始めた、夕闇の部屋で。アリエルは、年老いた準司祭をロエーヌと同じように、見開いた目で見つめる。「…エ、エクトラスって、言ったの?」アリエルは数秒の沈黙の後、ようやく声を出した。「そう、アペル家の方ともおっしゃっていた」「…な、何か、話しを…したの?」アリエルの声は、少しかすれていた。なぜか喉がからからに乾燥していて、舌の動きも滑らかではなかった。「え
2024年8月15日 21:46
*イオクの話は続いた。赤ん坊をあやすエクトラスの手は、骸骨のように骨が浮き出て肉がなかった。それでも、彼は息子だという赤ん坊を自分の“御守り”のように大事に扱う。これが無くなっては、自分自身が崩壊してしまうと思っているかのように。赤ん坊は、彼の心の支えなのだと、イオクは思った。「…御司祭、感謝する」少し温めた山羊の乳を哺乳瓶に入れ、青年に差し出すと、彼は涙を浮かべて、イオクの
2024年8月23日 21:39
*朝食の皿をアリエルに渡すために腰を上げたロエーヌは、立ち上がったまま、準司祭を見つめた。彼女の『祝福の蒼』の瞳が、室内を照らし始めた月光に神秘に輝く。その聖なる美しさに見惚れながら、イオクは唇を舐めて告げる。「お子様の瞳のことです」ロエーヌはちらりとアリエルに視線を投げる。彼の側には、彼を挟むようにして、パルムと『幽体』のアタール・プリジオスが寄り添っていた。「…承知しま