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Giovanni Pizzoのカラフルな幾何学模様の作品を鑑賞する
とある金曜の会社帰り、以前一度訪れて気に入ったギャラリーを訪れた。
外門が解放されたままだったので、直接ギャラリーのチャイムを押したら、「今日はもう掃除の人も来たし、早めに閉めようかと思っていたけれど、ここまで来たなら見て行っていいよ」と言われ、まぁちょっと愚痴を最初に言われたこともあるし、堂々と見てやろうじゃないの、という気分で、きれいさっぱり磨かれたばかりのギャラリーに足を踏み入れる。
入るとすぐに「キミ、前も来たことあったよね?なんかアート関連のことをやってるんだったよね?」と聞くので、「そうです、主にアートの展示会についてのブログを日本語で書いているものです」というと、「あっ、あいつか」という表情を瞬時に浮かべ、愛想がよくなったのが、やっぱり人間は計算高い生き物だな、と思わされた。
金夜なので仕方がないのだ、皆疲れているのだ。
さて、肝心の展示だが、何を隠そう、前回このギャラリーの鑑賞記録を書いた際のアーティストの夫の作品になる。それゆえ、妻の作品についての記事を読んでくださった方なら、作風が若干似ていることを感じ取っていただけるかと思う。夫婦は似てくるというけれど、本当にそうなのだなぁ、と彼らの作風からも改めて思わされた。
※展示案内
モジュール、幾何学、数学的言語のゲシュタルト的可能性を実験的に追求したGiovanni Pizzo( Veroli 1934 - Roma 2022)の回顧展。
画家としてのキャリアは、Bertrand RussellとAlbert Henry Munsellの読書に影響された1960年代に始まった。Pizzoは、幾何学的なモジュール、線、正方形、長方形の使用と組み合わせに基づく個人的な芸術的研究を、最初は黒と白の最小限のパレットを通して、後に青や赤などの飽和色を含むように発展させた。Sign-Gestalt(サイン・ゲシュタルト)」というタイトルは、形に至る操作プロセスの重要性を反映している。
この説明から、「あっ、もう私、彼の奥さんが誰だかわかった」という方、素晴らしい記憶力に拍手🙂↕️
でも、じらしても仕方がないので、忘れた方、ご覧になってない方のために、過去記事を下に貼ろう。
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Alternanza di strutture(訳: 交互構造, 1965)
※作品紹介①
展示作品は2つの時期に分けられており、地下階には1960~1990年代前半までのモノクロのイメージの強いザ・幾何学作品、地上階には2018~亡くなる2022年までの幾何学により拍車がかかりカラフルになった作品が展示されていた。
Luciaの時と同様、今回もクロノロジカルに、地下階の作品から紹介したいと思う。
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180X115cmの大型作品だが、これは本当は3枚だか4枚綴りだそうで、全て飾るにはスペースが必要なので、その中から1枚選んだそうだ。
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レトロな喫茶店の壁、もしくは丸テーブルの柄みたいで可愛い。
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デパートの包装紙にもなりそうな見た目🤭
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他にもあったが、光の反射が激しいのと、似たような雰囲気なので割愛した。
ただ一つ、興味深いものが展示されていたので、そちらを紹介しよう。それは彼が絵におこす前のイラストとコメントの下書きノートだ。
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※作品紹介②
近年の作品にフォーカスした地上階へ移ろう。
一気に色合いが華やかになるので、心してご覧あれ😆
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「私の探求は、もし時間と体力があれば、イメージの組み合わせ係数を倍増させ、あるイメージ群と次のイメージ群の間に、光と色彩の参照というこれまで以上に豊かなダイナミズムを生み出すことだ。私は、このダイナミズムをどんどん増殖させていきたい。ポロックがもうひとつの分野、純粋な記号の分野でドリップを使ったようにね。ポロックは、非公式な方法で記号の分裂を増殖させた。私はそれを整然とやってみたい。そこには人間の介入はなく、ただ数学的な論理に従って増殖する無数の要素が、キャンバスやパネルに転写されることで自然に人間味を帯びてくる」。
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タイトルが長すぎて…それを無視して作品だけ見た方がよさそうかも?
(下)Sign Gestalt N27(2018) "Stadi evolutivi del decentramento dI una struttura cromatica(色彩構造の分散化の進化段階)"
クロスワードパズルかインベーダーゲームか、的な要素が強いですよね。
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ちょっとレトロで、大人の浴衣によさそうな柄。縁側に座った女性の頭上で風鈴がちりんとなったのが聞こえる🎐
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知能テストにこういうのありませんでしたっけ?
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プライマリーはここでは長方形のことを言っているのだろうけれど、3重なのかどうかは私にはわからない。。。
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(下)Sign Gestalt N4(2021) "Nella griglia l'iterazione combinatoria di due diverse quateme cromatiche altenate(グリッドでは、2つの異なる色の組み合わせが繰り返される)"
ギャラリーのオーナーに、最後に「どの作品が一番気に入った?」と聞かれて、1つに絞れないけれど、この2つともう1つと答えたシマ子。皆さんもきっと同意見では、と思うのだけれど、どう見ても折り紙を折っている最中のように見えてならないから、というのがこちらを選んだ理由😄
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パックマンというゲームと夕陽、もしくは朝焼けの要素が混ざった感じでしょうか?
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つなぎのようなベビー服(なんという名前かわかりませんが)の柄にも見える
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こちらが、私が気に入ったもう一つの作品。やっぱり、ピンクや紫があるとどうしても心惹かれるのと、今や2か月以上食べていないチーズを思わせるこの四角い黄色が気になってしまって😅
最後にオーナーが「好きに写真を撮っていいよ、外でタバコ吸ってくるから」といい出て行った。思う存分写真を撮った後(勿論、ここでは紹介していない作品もある)、色々質問をされたのでそれに丁寧に答え、最後に私から「この配置は毎回あなたが決めるのですか?」と尋ねた。
その答えは、「そうだよ、僕の妻が建築家で、彼女と二人で決めるんだ」とのことだった。
「お互いに結び付くべくして結び付いたカップルですね、このアーティストの夫妻のように」といったら、ちょっと照れ笑いしながら、ありがとう、と言われた。
そして私は、夕暮れが近づきつつある表通りへ出た。
本当に結びつくべくして結び付くカップルは、多くはないにせよ、いるのだなぁ、とぼんやり考えながら、2軒目のギャラリーへと急いだ。
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![シマ子](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119705590/profile_e507395c7932cb746c1dc81de15089b2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)