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ふぐの生態とは?

フグは日本で獲れる魚の中でもトップクラスの高級魚ですが、魚類としては大変珍しい生態を持っていることをご存知ですか?
今回はフグの生態をご紹介いたします。

トラフグは生まれ故郷に戻ってくる!?

トラフグは日本列島周辺に広く生息し、3月から6月にかけて潮流が早く、砂利や小石が多い水深10cm〜50cmほどの海底を産卵床にします。
日本における主な産卵場は不知火海、有明海、博多湾、関門海峡一帯、尾道周辺海域、備讃瀬戸、伊勢湾口安乗沖、若狭湾、能登島および秋田・天王町沿岸などが知られています。
桜前線と同様に、南より北へ行くほど産卵期は遅くなるため、タイミングを見計らって実際の産卵を見学した人の体験談なども見聞きします。

産卵後、トラフグの卵は孵化・稚魚期・幼魚期を経て成魚へと成長していくにつれて分布域を広げていきます。東シナ海などの外海で回遊して、約2〜3年後には生まれ故郷の産卵場に戻ってくるそうです。
この習性を「産卵回帰性」といいます。

サケが川で生まれた後に海で成長し、生まれ故郷の川に戻って産卵するという話は昔から有名ですが、ふぐの産卵回帰性はここ最近の調査で少しずつ明らかになってきました。
また、サケと大きく異なるのが、サケは産卵後死んでしまいますが、トラフグは産卵後も死なずに次の年もまた産卵するそうです。

生まれ育った場所に帰ってくる習性に期待して、近年フグの稚魚の放流が各地で盛んに行われています。こうした放流を通じ、稚魚が生き残るのか、どういった回遊ルートをたどるのかといった研究も行われているため、今後天然トラフグの漁獲量回復にもつなげたい意向が伺えます。

フグは砂に潜る!?

トラフグやクサフグ、ヒガンフグ、マフグなどの多くのフグ科の魚たちは砂に潜る習性があるといわれています。この行動を「潜砂行動」といい、臆病なフグの象徴的な行動です。

この行動についての学術的な報告はほとんどないものの、砂に潜る理由については、リラックス(睡眠)するため、外敵から逃げるため、環境の変化に対応するためなど、多くの仮説が存在しています。
潜り方は、下顎やお腹で砂をかきわけ、体が砂の中に埋まったところで、尾ビレを上手に使って頭から背中に砂をかけます。そうすると、頭部だけが砂から出る状態になります。これでフグにとって居心地の良い状態である「潜砂」の完成です。

リラックスしている姿は他にも見かけることができるようで、ときには仰向けになったり、横になったりすることもあるようです。もし、今後水族館などでフグのこのような状態を見かけたら、よく観察してみてください。ふぐがリラックスしている貴重な姿を見られるかもしれません。

知れば知るほど不思議なフグの生態

猛毒があるというイメージが強いフグですが、その他にも様々な特徴があるとてもユニークな魚です。
鑑賞魚としてミドリフグをはじめとする小型のフグが人気を博しているのも納得できますね。
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