「1兆ドルコーチ」読後感
なんとも言えない読後感だった。本を読んで、涙ぐむことは今まで記憶にない。そういう歳になったとも言えるだろうし、それだけ感動的だったとも言える。
いわゆるスタートアップ向けのビジネス本(例えば「時間術大全」のような)だと思っていた。見事に内容は裏切られ、ビル・キャンベル氏の人柄を、余すところなく伝えていた。もちろん、ビジネスに必要な、コーチングのエッセンスもたくさん散りばめられている。
・管理・監督・評価・賞罰→コミュニケーション・敬意・フィードバック・信頼
・Don't Fuck it up! (ヘマするなよ!)
・第一原理、ビジョンやコンセプト、創業者
・チームファースト、個よりチーム、正しく勝利する
・愛、同僚の家族との話
などなど。もっと沢山の重要かつ心に刺さるものがある。ぜひご一読をおすすめしたい。
ただ、良くも悪くも「アメリカ」的だった。しょうがない。アメリカならではの個人主義からくる弊害を乗り越えるために、超重要なコーチングという意味ではとても重要な事柄だが、果たして日本のようにチーム的(チーム風?)な仕事が多い場合は少し違ってくるかとも思う。翻って、日本的な微温的横並び感に気持ち悪さを改めて感じたことも事実。
最近、うちの会社でも急にコーチングだとか始まった。流行りなのか?やらないよりはやったほうが良い。指導よりサポート役、的な。しかし、この本を軸に語るとすれば、ビル・キャンベル氏のような個性を持つ人は稀だし、またスキルは後天的にある程度身に着けられるとはいえ、シリコンバレー的土壌が所以のスキルが、日本の会社「ムラ」の、そのマネジメント層にとってどれだけ有用なのか、未知数だ。
取ってつけたようなビジョンと当たり障りのない人間関係、そんな土壌で、ただただ計数を追うことに終始している会社の多いこと。もう一度、ビジョンとコンセプトを見直すことから、始める必要があるのかもね。人間関係はどんどん希薄になっていくし、そこも考えるべきだよね。
いずれにせよ私にとっては、新人や若手に少し教える立場で参考になればと思い手にとったが、思いの外の良書だった。彼らに私ごときがビジョンを示すことができるか?彼らの人生にどこまで立ち入ることが許されるのか?それも個人を犠牲にして??少しはトライしてみたいと思う。
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