【マーラー書きたい5】いわゆるハンマーの問題について
マラ6を語る上で、ハンマーの話を外すことはできない。「お、来たな!」と思う方もいれば、「なにそれ」な人もいるだろう。そう、マラヲタかどうかの基準とも言って良いだろう。
先日、韓国でトランペット奏者をやっている弟に「2回って何なん?」と聞かれた。「アホ!そんなんハンマーの回数に決まってるやろ」と言った。言ったのはいいが、プロで、それなりにオケでやってても(まあマーラーをやることがほとんどないらしいが)、ハンマーの回数に言及しないということだ。いや、もしかしたらプロオケでも、そんなに気にしていないのかもしれん。いたってアマチュア的な興味の向き方なのか。
このハンマーについては、Wikipediaやネットにたくさんの記述がある。興味のある人は、とことん調べて下さい。オススメは、金子先生のマーラー論マーラーの交響曲 名曲の記号論的分析です。ぜひ。マーラーを語る上では外せない楽曲論だ。
ハンマーの概要としては、作曲と出版、演奏の経緯で5回→3回→2回と推移したらしい。自筆譜には後から青鉛筆で追加する形で5回だった。その後初版の出版譜に3回書かれ、その後演奏は2回が主流になっている。改訂版の出版譜も2回だ。
その2回(もしくは3回)の演奏箇所だが、ハンマーが来る!と分かっていないと、なかなか分からない。もし会場にいらっしゃる方でこれを見ていただいている方ならば、およそ11分後半から12分始めに1回目(336小節目)、そのおよそ5分後に2回目(479小節目)がある。どっちも、始まる前に打楽器の方のイケメンがハンマーを持ち上げると思うので、大体そのくらいの時間に打楽器の方を凝視してもらえるといい。
幻の3回目(783小節目)の件。バーンスタインのウィーンフィルを久しぶりに聴いた。この3回目は、なかなか良い。バーンスタインならでは。コッテリしていて大好きだ。3回目を聴きたい人はどうぞ。29:21です。
このハンマーの意味を、いろんな捉え方をしている。アルマが「英雄は運命の打撃を3度受ける。最後の一撃が、木を切り倒すように彼を倒す」と言ったり、佐渡先生は「第1の打撃は『家庭の崩壊』、第2の打撃は『生活の崩壊』、第3の打撃は『(マーラー)自身の死』」との意味付けを紹介し、「マーラーは「自身の死』を意味する第3の打撃を打つことができなかった」としている。マーラー自身は「金属的ではない性質の音(斧を打ち込むように)」と楽譜に指定した。ハンマーの意図を語ることに想像力を掻き立てられることは間違いない。しかしながら、演奏効果プラス視覚効果として、マーラー随一のジェットコースターのアトラクションとして、楽しむのも良いのではないだろうか。意味づけは他に譲るとして、個人的にはハンマーの音が、ホールにしっかり聴こえて欲しいことを祈るばかりである(かなり難しいらしいので)。
演奏会でハンマーを見ることは滅多にないので、是非とも楽しみにして欲しい。このハンマー、叩かれる方は自作である。N君、ブラボー!ちなみにハンマー自体は某○ーナンで買ったらしい。適度に大きいのがあってよかった。
(追記)こんなすごい動画を見つけた。
めっちゃおもろい。コメント爆笑。
関西シティフィル 第70回定期演奏会
■日時:2021年2月28日(日)14:00開演
■会場:ザ・シンフォニーホール
■指揮:ギオルギ・バブアゼ
■曲目:マーラー / 交響曲第6番「悲劇的」
■入場料(全席指定):¥2,000 (座席指定料金¥500含む)
■チケット発売:チケットぴあ ✆0570-02-9999
(音声自動応答 / Pコード 192-074)
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