〈16〉外部刺激を取り入れない体制が生む保育の質
田舎へ行けば行くほど、研修機会を得られにくく、最新の動向や情報が入りません。
例えば発達障がいと言われていたものが、今は神経発達症と言いましょうとされている。発達障がい児への作業療法の必要性。ペアレントトレーニングとは何かなど。
ネット環境を駆使した研修なら、以前に比べればアクセスしやすくなっていますけどね。
そして同じメンバーで長くやればやるほど、自分たちのやり方に固執しがちになります。
そのような状態が長期間続けば、より外部からの意見や知識を取り入れにくい組織へなっていきます。研修を受けようという気力すら湧きません。
田舎には田舎のやり方がある。都市部のように出来るわけがない。そんな声が聞こえてきそうです。
確かに都市部と地方で同じクオリティを提供するのは難しいですが、そこで思考停止して良いのでしょうか。
田舎こそ、これからは保育・教育、児童支援の分野にしっかり取り組まなければ、都市部との格差が今以上に、加速的に広がっていきます。
保育・療育・教育の格差は、子ども達のその後の人生で埋められない格差となります。
都市部はより先進的で細かな思考を必要とする仕事や人間関係が増えていく。その一方で地方は過疎化や高齢化がさらに進み、仕事を見つけそこで暮らすこと自体が難しくなっていく。
都市部で生きる、田舎で生きる、どちらにせよ自分の力で他人と関わり、稼ぎ、生きる力を身に付けなければいけません。
生きる力を身に付けるためには考える力を身に付けなければなりません。
考える力を身に付けるために教育があります。
そして教育を受ける状態まで子ども達を引き上げるのが保育です。
人生の原点は保育だと言っても過言ではないと思っています。それくらい保育は大事なのです。
家庭保育が不安定な状態で、社会性のはじめの一歩を学ぶ保育園・幼稚園での保育を受けるのは、子ども自身にも保護者にも、保育士にとってもなかなか大変だと思います。
そして乳幼児期の保育が、教育を受けられる状態まで子どもを引き上げられなかった場合、現状の学校教育を受けるのはなかなか大変です。
同じく乳幼児期の保育で学校教育に必要な程度の社会性が身に付かない状態での放課後児童クラブや学童保育所での学童期保育は大変すぎます。
発達障がい、健常児でも発達の速度は個人差があり、学童期は心身ともに著しい発達段階に子ども達はありますから、それを考えれば本当に難しい分野だと思います。
その難しい学童期の保育をする放課後児童支援員が、無知や思考停止だったら…子ども達はどう成長していくのでしょうね。
逆に学童期の保育についてよく学ぶ支援員なら、家庭保育で不足するところを少しカバーできるかもしれませんよね。子ども達の社会性やコミュニケーション能力を少し引き上げられるかもしれませんよね。
学ぶためには視野が広くなければいけません。
待っていても情報は入ってきません。自分から情報を取りにいかねばなりません。
それが出来るかどうかは、支援員自身の学ぶ力や考える力にかかっています。
あら、そうなると支援員自身がどう教育されてきたか、保育されてきたかになりますね。
ということは…。
世代を越えた積み重ねですね。
回りくどくなっていますが、結論としては、「田舎だから」「ここはここのやり方だから」と古いやり方に固執せず、常に新しい知識を身に付け保育しなければ、子ども達の人生にとんでもない影響を与えるぞということです。
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