〈49〉学童での学習の限界
さらに最近保護者による子どもへの教育虐待というものも取り上げられるようになりましたが、学童保育の現場でもみられます。
その場に親がいなくても、子ども達に見受けられるのです。
明らかに学習困難があるのに、親も自分の子どもが勉強を得意としていないとわかっているのに、親は子どもに勉強を"やらせる"のです。
学校の授業に参加しない子どもにドリルを買い与え、一日に何ページとノルマを与える親もいます。
文字の読み書きも儘ならない1年生にドリルを与えているのを見た時は絶句しました。
それらを学童でやらせるのです。
できるわけないじゃないですか…
それを「教えて」と言われるのを想像してください。
でも子ども達にとって親は全てです。
親にやれと言われたらやらねばいけません。「やらないと怒られる。」と言う子どももいます。
可能な限り教えたり、迎えに来た親に取り組む姿勢や頑張りを伝えたりしていますが、一体どう支援すればよいのですか。
書けない平仮名や漢字を教えるのが放課後児童支援員の仕事なのですか。
そしてもう一点。
放課後児童クラブや学童保育所として、宿題や勉強時間を決めている所も多いのではないでしょうか。
どのように行われているのか、現地視察したいですよね。
学習意欲の無い子どもは、その時間どうしているのでしょうか。
筆者の放課後児童クラブでは、何時から何時までを学習時間としていた時もありました。
しかしその時間に学童する子どもがほとんどいませんでした。
声をかけても促しても、子ども達のやる気スイッチは入りません。
そもそも学習を強制することは、学童保育には不要であろうと思っています。
静かな時間の確保として、そのような時間を設けることは意味があるかもしれませんが。
「静かにして。」「宿題やろう。」などと声をかけ続ける、やる気もないのにだらだらやるくらいなら、「今からやります!」と自主的にやった方が何十倍も身になりますよね。
登所しておやつを食べてすぐ取り組む子、ひと遊びしてから取り組む子、迎えの時間から逆算して取り組む子。
宿題だけやる子。自主学習する子。
何をどれだけやるかだって自分で決められるようになる。決めたことは頑張ってやりきる。
それで良いのだと思います。
「宿題終わらせといてくれると助かります」ではないのです。
親が子どもと話すことです。
「宿題はやっておいてね。」約束することです。
放課後児童支援員に頼めば丸つけまで終わってくれるとか、そういうことではないのです。
家庭や学校での学習の姿勢が整わずして、学童保育所や放課後児童クラブで勉強をするなんて、難しいですよ。
学童保育所や放課後児童クラブが学習支援に重きを置いて運営されていれば別ですが。
学ぶということ、教育というものが何であるかということを、もう少しよく考えた方がよいと思います。