話してみれば、よくわかる 〜茂出木シェフにお会いした
オムライスが、大好きだ。
好きすぎて、10年以上前から隙あらば食べ歩きに余念がない。有名どころ、本や雑誌に掲載されている店には、ほぼ都心なら行っている。
オムライスにも、種類がある。
大きく分けると、昔ながらの家庭的な薄焼で包んだ系と、半熟ふわとろ系の2つになるが、私は断然半熟ふわとろ派だ。
たいめいけんの、タンポポオムライス(伊丹十三風)も、その派の中ではかなり支持されている。
もちろん、私も大好物だ。
近くに行く用事があれば、必ずと言っていいほど立ち寄る。
トップ画の写真が、それだ。
美しい玉子の黄色、ポテッとしたケチャップライス。
それを、横にナイフを慎重に入れる。
オープン。
花開く、幸せの色。
バターがほのかに香るそれに、濃い赤いケチャップをさらにお好みで。
絶対的に、上品かつ裏切らない味。
飽きずに食べやすい。
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あまりに好きすぎて、本題をそれまくった。失礼。
その日も、以前の日本橋の中から移転した川沿いのテラス席で、川面を眺めながら堪能し、会計をしていた。
「茂出木さんだ。」
隣にいた家族が、気付いた。
一階店舗入り口横の、二階店舗行きのエレベーターから颯爽と、道端に停められた車に乗り込んだ後だった。
「え?茂出木さん、いたの?、あ、ホントだ!」
まあまあ近かったから、声を落とし気味にしていたとはいえ、お顔を見ながら店を出てきた明らかに興味津々だった、私達に気付いた茂出木シェフは、次の瞬間、スッと車を降りて、私達の方に寄って来て下さった。
その展開にびっくりしていると、シェフの方から「ありがとうございました。」と丁寧に頭を下げてご挨拶をされた。私も、いつも美味しくいただいている旨お話すると、喜んでいただけた。
新店舗には初めて来たと言うと、今は、二階の店舗の方に大きなカウンターがあり、そちらで調理されているとのこと。また是非にとのお言葉に、もちろん伺いますとこたえた。
本当は、もっと雑談的なことまで、シェフ自ら楽しくお話くださった。結構長く話していたもので、私が逆にこれは写真撮っていいですかとか、サインとかいかにもなことを言って、終わらせた方がいいのではと思う位だった。スタッフさんか、マネージャーさんかまで降りてくるほどに。
ただ、このご時世、写真もサインも求めなかった。
茂出木シェフに、実際お会いできて、気さくにお話しして下さったのが、本当に嬉しかった。
正直、都心にいるとメディアに出ているいわゆる業界人には、時々遭遇する。
私は以前、そのど真ん中の立地で働いていたこともあり、まあまあな数の方に接している。
今回の、茂出木シェフの素敵なご配慮も、経営者たる者という観点で当然だろうとも、確かに言える。
しかし、そうではない態度の方も、実に多い。
これは、もはや表舞台に立つ人だろうが、一般の人だろうが、人間性の表れだと思う。
私自身が、そんなに偉そうに人に優劣をつけたり論評できるレベルだとは思わない。
ので、このエピソードも、私個人の意見だ。
ご病気をされて、かつ都市開発のために店を一時的に閉めねばならなくなり、昔ほどメディアでお見かけしなくなっていたと感じていた。だが、綺麗な新店舗を始められ今も精力的で、今回メディアでの印象と変わらぬ快活で柔軟な物腰に触れた。
茂出木シェフは、経営者としても、人としても、魅力ある方だ。
もちろん、またお店に行く機会を楽しみにしている。
たいめいけん
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1丁目8-6
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